奄美の風にゆれる、静かな路地裏。
木の看板に描かれたくまのイラストに惹かれて、
ふらっと立ち寄ったのが「もりくま屋」だった。
店の前に立っていたのは――
まさかの、本人。
そう、くま![]()
しかもエプロン姿でケーキを差し出してきた。
「どうぞ〜。ご自愛シフォンの試食です〜」
その一口が、衝撃だった。
ふわふわ、でもしっとり。
優しくて、包み込まれるような味。
「おかわりいかがですか?」
その言葉に、つい手を伸ばしてしまった。
でも次の瞬間、差し出されたのは
ラッピングされた、本物サイズのシフォンケーキだった。
「2回目からは“お買い上げ”システムで〜す♪」
……やられた。完全に、もーりのペース。
くまの笑顔はあざといけど、
味は正直、また食べたくなるやつ。
これはもう、営業なのか癒しかわからないけど――
また来てしまう、ふしぎな魅力があるのです。
