『象の鼻』 詩 金子みすゞ『象の鼻』 詩 金子みすゞ むぅく、むぅく 山の上、 巨きな象が白い。 むぅく、むぅく 空に、 象の鼻が伸びる。 ~水いろ空に、 失くした牙が しィろくほそく。 むぅく、むぅく 鼻が、 伸びても伸びても遠い。 とどかぬ ままに、 灰いろに暮れて、 ~しずかな空に、 とれない牙は、 いよいよよろしく。