『こわれ帽子』 詩 金子みすゞ | もりいさむのブログ

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『こわれ帽子』 詩 金子みすゞ


てんてん手毬、

おてて手から、辷ってころげて、

乞食の子供にひろわれた。

...

睨みや、睨んではうってくれて、


行くか、帰るか、あち向きかけて、

麦藁帽子をすぽりとかぶりゃ、
すぽり、こわれた、帽子、

つばがすぽりとくびまで抜けた。


くるり、ふりむき、アハハと笑うた、

私もうっかり、アハハと笑うた。


こわれ帽子の、そのゆくみちにゃ、

とんぼ、千も萬も舞い舞いしてた。


 

手まりは欲しし、怖さは怖し、