『雀』 詩 金子みすゞ『雀』 詩 金子みすゞ ときどき私はおもうのよ。 雀に御馳走してやって、 みんな馴らして名をつけて、 肩やお掌にとまらせて、 よそへあそびに行くことを。 けれどもじきに忘れるの。 だって、遊びはたくさんで、 雀のことなんか忘れるの。 思い出すのは夜だもの、 雀のいない夜だもの。 いつも私はおもうこと、 もしか雀が知ってたら、 待ちぼけばっかししてるでしょ。 わたしは、ほんとにわるい子よ。