『空の鯉』 詩 金子みすゞ『空の鯉』 詩 金子みすゞ お池の鯉よ、なぜ跳ねる。 あの青空を泳いでいる 大きな鯉になりたいか。 大きな鯉は、今日ばかり、 明日はおろして、しまわれる。 はかない事をのぞむより、 跳ねて、あがって、ふりかえれ。 おまえの池の水底に、 あれはお空のうろこ雲。 おまえも雲の上をゆく、 空の鯉だよ、知らないか。