『泣きむし』 詩 金子みすゞ『泣きむし』 詩 金子みすゞ 「泣きむし、毛虫 つまんで捨てろ。」 どっかで誰かがいうような。 青い櫻の葉のかげに、 廻旋塔のかげをさす、 運動場のひろいこと。 遠い校舎のオルガンの 音もしずかにひびき出す。 いまさらうちへははいれない さくらの葉っぱをむしってる。 毛虫がひとつ居たばかり。 そっとあたりをみまわせば、