5月16日、一日中曇天。
妻と近所のドラッグストアーに行きました。店内を一通りまわり、必要なものを買いました。妻によると、若い男性店員が棚の整理をしながら、私たちの顔を見つめていたそうです、後で聞いたことですが。
私は何も気にしていませんでした。店を出ようとして、買い忘れたものに気が付きました。それがどの棚にあるか、見つけられなかったので、その店員に尋ねようとしました。すると、その青年は、私の質問の前に、「せんせー」と私の名前を言いました。そして、「Iです」と、自分の名前を言いました。
「子どもの家でお世話になった」と続けます。マスク越しではすぐに誰か、わかりません。マスクを取ってもらいましたが、わかりません。名前を聞いてもわかりません。胸の名札の漢字を見て、また顔を見て、じっと見つめていて「おう」と思わず声が出て、しっかり手を握りました。
「いやあ、立派になったねえ、Iくん、I君かあ、ぜんぜんわからんかった!」
学童保育施設「子どもの家」で6年間、付き合った子です。
12歳の少年が19歳になると、こんなに変わるのですねえ。身長が伸びるのはもちろんですが、肉付きがぐんと増しているし、当然、子どもの時の顔つきが精悍な青年の顔になっています。
何より、りっぱな、そして誇らしそうに私を呼び止めてくれたことに私は無上の喜びを感じました。
彼は子供の家では、とてもおとなしい、シャイで、友だちの中に入っていけない子でした。いじめられることはなかったですが、いつも、私の後をついてくる子でした。だから、将来がとても心配な子でした。
小中は地元の学校、高校は特別支援学校を卒業しました。そして、今、ドラッグストアーの店員です。
嬉しいですねえ。また、彼に会いに来ようと思います。
ストアーを出る時、空はまだ曇っていましたが、私の心は日本晴れでした。

