初めて、海で人が亡くなっているところを見た。
いつもエントリーするとこからたった数m横。
波打ち際、人が浮いてた。

ポイントに着いて、まず下見。
いつものように、静かなところで雰囲気がいい。
ちょうどエントリーポイントに人影が。
先客で魚突きか、と思った。
その時、山の上で消防車のサイレン。
どこかで火事かと思った。

荷物の準備していると、老人が1人先に歩いていく。
後をついていく形になったけど、すぐに追いついた。

声をかけてみると、人探しにきたという老人。

なんでも、三日前からこの辺りで素潜りしてた人が帰ってきてないらしい。
きっともうかえってますよ、と言うと、車だけここにあったからなぁ、と言う。

まさか、そんなことが、と思って話をしながら歩いていくと、後ろから走ってくる女性。


声をかけると、
父が見つかったんです、と言って走っていった。



老人となんとも言えない心持ちで一緒に歩いていく。
警察が1人、抜いていった。


複雑な気持ち。

途中、何度も立ち止まる。
でも、老人について、先へ先へ歩いて行く。

野次馬とはちがう、、こんなへんぴなところやし、人手がいるのなら。
でも、興味本位で見たい、、という気持ちもどこかにはあったのも事実。

でも、

現実を知りたい。
どう思われようが、同じ趣味をしていて、いつか自分の身にも降りかかるかもしれない、と考えると余計に知りたいと思った。



まだずっと先。先に行った警察官は家族の人と話し中。
最初に見えた人は、亡くなった人の家族だった。


近くまで来た時、
波打ち際に人がうつぶせて浮いているのがわかった。

地元の漁師さんが数人来た。

老人の話によると、素潜りは達者な人でよく来ていたみたいで、年は70らしい。


手伝えることがあるならと思い、近くでいることにした。


消防士も来た。
隊員が1人様子を見に行ったけど、その場でいるだけ。

他の隊員たちは何にもせず、近くにもいかない。
明らかに亡くなっているのがわかっているからか。

家族が目の前にいるのに、ほったらかしにせず、早く引き上げてあげたらいいのに思って見ていた。

10分ぐらいしてからだろうか。
刑事が来た。
けど、遺体にはだれも触れない。


どうも現場検証があるらしく、だれも触れてはいけないみたい。
長い時間が過ぎて行く。
家族は来た道を戻っていった。



もう少しだけ待つことにした。



その間、漁師さんたちと話をして、たくさん教えてくれた。


過去にここらへんで4、5人上がっていること。
テトラに入ってた人を出そうと足を引っ張ったら、ズリッとなったことも。
中国系もいたこと。流れてきたらしい。


人間が海で死ぬと、3日ほど沈み、そのあとガスのせいで浮きあがる。
そのあともう一度沈んで、そのあとは浮くことはないらしい。

浮いている時に見つけないとほとんどが行方不明になるみたい。

ここら辺で行方不明になった人が、潮に流されて
何百キロも移動して他県で見つかったこともあったらしい。

いつも、楽しく潜ってたけど、そんな場所だったとは。

冗談まじりで、あんたが海の中で見つけんでよかったなぁ、と言われた。

レスキューの人もきたので、
漁師さんたちは、手伝うことはないと判断し、戻り出した。
自分にも、
顔を岩でぶつけてるから仏の顔、見んほうがいいよ、
戻ろうや、今日はここで潜れんやろ?、といってくれ、引き返すことにした。

シートが張られ出していた。






漁師さんは今回の件のことを詳しく教えてくれた。
3日前から大掛かりな捜索があったこと。

3日間、朝から晩まで。

船で捜索。漁師さんも、海保も。

沿岸も歩いて捜索。

ヘリで、空からも捜索。

ダイバーも何人も出て捜索。

それでも、見つからなかった。


毎日、地元のわしらが駆り出されてとても大変だったと。

それと、人が行方不明になってもすぐにどこの誰かわからんでとても困ると。
素潜り禁止の看板を立てようかとも言ってた。



やらしい話やけど、3日間はただで捜索。
そのあとはお金がかかるので、家族と要相談とのこと。

3日間の捜索の打ち切り翌日、朝から家族だけで探しに来て、すぐの発見だった。


最初、家族は泣いていた。
そのあとは、見つかってよかったと言っていた。
亡くなった人も、きっと見つけてもらいたかったんやと思う。






自分が潜りにきたタイミングと、今回のことがたまたま重なった。



亡くなった人は、好きな海だから幸せ、、

家族の思いは、、

捜索にあたった人たちの思いは、、

自分に置き換えて考えてみたら、、



いくら考えても、これが正解なんてない気がする。





ただ、絶対に海で死なない。
それだけは強く思った。

海をやめることも考えた。
生と死が紙一重のような海の世界。
でも、そこだからこそ、感じられる生の喜び。

やめられない理由は
そこにあるのかも。

なに書いてるのかよくわからんようになってきた。

無理は絶対にしない。
それだけはなにがなんでも守らなくては。

そう教えてくれている気がした。