千秋がかわいすぎて

千秋がかわいすぎて

セカコイ中心の二次創作小説を好き放題書いてます
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*トリチア
*羽鳥芳雪視点
*12月某日、校了明け
*0:20
*吉野千秋宅



水を流すと、皿の泡が洗い流されていく。
疲れた目と、肢体、をだらしなく動かしカチャカチャと音を立てながら作業を続ける
自分の家とは異なる台所で皿洗いをする自分は少しおかしいのかもしれないが、今となってはそんなのどうでもよかった。と、いうよりもうこの台所は自分自身しか使いこなせないようになってしまっている事実は隠しても隠しきれないことであった。

 羽鳥芳雪は開こうとしない瞼を、精一杯の力を持って持ち上げこの家の主の食べた食器の片づけを淡々と行っていた。今回のスケジュール的に、余裕を持って作業に取り組ませたはずだったのだが、羽鳥の担当する作家であり恋人である吉野千秋は、真に驚くべきことに完璧なスケジュールをもガタガタに崩してしまうという、なんとも編集担当には重荷以外の何ものでもないことを今回もやってくれた。

 毎回、山場を乗り越える度に「反省会」という名の説教をしているつもりなのだが、やはり自分の指導が足りないのだろうか。こう、毎回締切を限界まで伸ばしてもらうこちらの気を千秋は知っているだろうか。


(いや、知らないな・・・)


 編集長の高野からは、「原稿さえもらえればそれでいい」とは言われるが、やはり自分に引け目がないと言ったらウソになる。やはり、作家の描くペースを考えて締切に間に合わせるように日程の調整をするのが自分の役目である。それが出来ていないということは――



「シャァー・・・」


 千秋がシャワーを浴びているようだ。
本人自身は、相当疲れているようだった。


『はぁー今回も大変だったー。な、トリ、飯作ってくんね?』
『俺も誰かさんのおかげで、帰ってきたのは日を超えていて疲れているんだがな』
『うっ…い、いやホント悪い…け、けど次頑張るから!お願い!』
『…………はぁ、わかったよ。まぁそのつもりで食材も買って来たんだしな。』
『やったー!』



 今はご飯を食べ終わって、先に千秋がお風呂に入っている。
お互い疲れているのは当たり前だが、先に千秋を風呂に入らせるのはやはり自分が甘やかしてしまっているからなのだろうか。いや、こんなことを甘えととらえる者はいないだろう。
第一に千秋の生活能力が皆無なのに問題があるのだ。もし、これで千秋自身が自分で食事の用意もでき、洗濯・掃除・片づけ等出来るのであれば、羽鳥自身が千秋に甘えさせているのではないか等と悩むこともないのだ。
そうすれば、自分の身の回りが自分で把握できるようになる。つまり結果的に、原稿なども余裕もって取り組めば締切内に仕上がるということだ。
そうだ。最初からこう厳しくしていれば・・・


(いや、はたして…そんなこと俺にできただろうか。)


 もし、千秋が羽鳥のように自分のことは自分で管理できるようになれば・・・?
そうなれば、こうやって食事を作ることも、皿を洗うこともしなくてよくなる。単純的に言えばそうなる。何よりも、一人でなんでもできる自分が誰からの助けをもらっていないのが何よりの証拠だ。
つまり、一言で言えば千秋に羽鳥はいらなくなくなる。。

「・・・・・・・」



 触れる水は冷たい。流れる泡は群れになって穴に落ちていく。
時々、思いを巡ること。「千秋にとっての自分」
本当に自分は千秋のためになっているのであろうか。
もしかしたら、自分の存在があることによって、千秋の人生の邪魔をしているのではないか・・・
そう、考え込むととても苦しかった。独占したい自分と、社会に解き放ってしまいたい自分がいる。
結局悩んでも答えはいつも出なかった。



「吉野・・・・・。」




「なんだよ。」
「?!・・・もう上がったのか」


 後ろを振り返ると、そこには湯気だった千秋が立っていた。
随分と短いことに羽鳥は驚いた。
今日の東京は寒い。寒波が一気に訪れたのだ。千秋は暑がりでもあるが、これだけの寒さになれば身体も堪えるだろう。だから湯船にしっかり浸かってくるものとばかり思っていたが、それは検討違いだったようだ。

「ああ、まぁな。俺あんまり風呂好きじゃねぇーし」
「あのな…明日、雪降るかもしれないって言ってんだぞ?しっかり温まってこいよ」
「別にいいのいいの。それより、トリも入ってこいよ。いつまでもそんなとこで水遊びしてんじゃねーぞ!寒くて冷えるからって言ったのはどこの―――」

「ななななななんだトリ??どこ連れていくんだ?!」

千秋の言葉に苛立ちを覚えた瞬間、動き出すのに時間はいらなかった。
羽鳥は千秋の腕をしっかり掴み、そのまま奥へと引きずっていく。

「お、おい!なんか言え!…ってここ風呂じゃねぇか!!」
「俺も風呂に入ろうと思ってな。」
「俺は今さっき上がってきたばっかだ!!」
「堅いことを言うな。まぁ付き合え。」
「ふざけんな!!俺はこれから漫画を読むんだー!」
叫ぶ千秋を横目に、羽鳥は自分の服をすべて脱ぎ、千秋のパジャマを脱ぎ捨てる。
自分で買って来たパジャマをしっかり着てくれているのをみると、やはり可愛いと思ってしまうのは、惚れた自分が負けなのだろう。
「おおお、おい!!聞いてんのかよ、トリ!」
「まず!お前が疲れたから飯を作れと言った。」
「ぉう…」
「疲れているといったから、先に風呂にも入れてやった。その間俺は、お前の食べた食器を洗ってやってたんだ。」
「ぁうん…そのー…」
「それなのに、よくお前は『はやく風呂に入れ』と言えたもんだな、あ?」
「ぅ…ご、ごめんなさい。」
「ま、話は風呂で聞いてやる」
「ぅう…って、え?!お、おい!それとこれとは別だろ!」

 すべて無視。
羽鳥は千秋を抱きかかえ、バスルームに入れる。
シャワーの蛇口を捻り、お湯を出す。すると勢いよくお湯があふれ出してくる。
羽鳥は千秋を壁に追い詰め、自分の唇と千秋の唇を重ね合わせる。


「ん・・・」


今にも茹で上がってしまうのではないかというほど、千秋の顔が赤い。
千秋の後頭部に手を回し、口づけの繋がりをより深くしていく。


「ぅん・・・はぁ はぁ」
「どうだ、少しは俺の気持ちを理解したか?」
「はぁ・・・なぁ、トリ、お前なんか悩んでないか・・・?」
「・・・?なんだ、唐突だな」
「いや、なんというか。そのここ最近トリが何か考え事してるなー…って」

 羽鳥は意表を突かれて驚いた顔をした。

「じゃぁ、例えば何で悩んでると思う?」
「え…そうだな…お、俺?」
「! まぁそうだな。もっと具体的に言えないのか」
「う。そりゃ、アレだろ…原稿…だろ……」

 苦しそうにいう千秋に、少しは反省の色があるのかと気づき、そこにも少し驚いた。
千秋で悩んでいることには変わりはないが、争点が違う。
そこじゃない、そこじゃないんだよ吉野。
俺はな、お前が好きすぎてどうしようもないんだよ。
そう口にしようとしたときだった。

「な、なぁ。と、とにかく今回も締切守れなくて悪い。」
「今に始まったことじゃないがな」
「チャチャ入れんなよ!今から大事なこと言うんだから!」

 大事なこと?
それは一体なんなのだろうか。羽鳥の頭の中は何を言われるのか、その事態に備えてフル回転した。


「な、なぁ。お、俺さ思うんだ。もしトリから離れて自立してちゃんと一人の大人として自分のことは自分でしっかりやったほうがいいんじゃないのかって。そのほうがトリにも優にも迷惑かけないで済むし…で、でもな!俺、やっぱりお前がいない毎日なんて想像できないんだよ。お前の飯とか、お前の声とか聞けなくなるって思うとやっぱり俺にはトリが必要であって・・――ト、トリ?」


 羽鳥は、いつの間にか千秋を抱きしめていた。
ああ。やっぱり自分はこいつのこと好きだ。改めて思った瞬間であった。




「吉野。」
「え?っんん…。」
「……俺も、同じこと考えてたんだよ。」
「え?・・・・トリが?」
「ああ。お前のためを思ったら、俺はお前から離れたほうがいいのかとかな。」
「お、俺はお前がいなきゃ・・」
「わかってるって。俺もそれはどうやら同じみたいだしな。」





 いつでも、自分は惚れたこいつには勝てない。
いや、一生勝てなくていいのかもしれない。


 シャワーから流れるお湯が、身体を流れていく。
まるで、お互いの悩みが泡となって水に流されていくように・・・。














「トリ、俺、ずっとお前と一緒にいるからな!!」













END









●編集後記●


千秋がクソ可愛いです。濡れ場を書こうとしましたが体力キレです。

次は頑張ります。

リクエスト募集!!

Twitter→@mopatdne