(配役は、チラシにて・・)
第一部に伺う。
お目当ては、小佐田定雄さん脚本の、「心中月夜星野屋」(しんじゅうつきよのほしのや)だ。
(以下、ネタバレ注意です)
これは、落語「星野屋」の舞台化、歌舞伎化ということで、どんなふうに料理されるのか、興味津々といったところ。
元々、落語「星野屋」は好きな噺ではない。
あくまでも自分本位の旦那のキャラが、嫌味な金持ち老人でいけ好かないし、
最後にギャフンとなるのが、お妾さんのほう・・というのも、納得がいかない。
そんな後味の良くない噺がどうなるのだろう、と思っていたが、
さすがに、お芝居に後味の悪さはなくなって、スカッとする幕切れが用意されていた。
星野屋の旦那は、中車。このところ、度々歌舞伎で遭遇!
新作歌舞伎では、全く違和感なく、すんなりと溶け込めているなぁ、と改めて思う。
算盤弾きながら登場し、居合わせた町娘たちから、
「虫が好かない・・」と嫌われると、
「虫が好かない?い~~や、虫が好く!!」
と、捨て台詞。
さすが、カマキリ先生!!
お客席も心得ていて、大爆笑^^
黒板塀に見越しの松の外の様子が、
紙ぺら一枚で、さーっと持ち上がって、下から妾宅内部が現れるというもの。
書き割りが太い線で描かれていて繊細な感じがしないのも、喜劇に相応しい感じだ。
お妾のおたかさん(落語は「おはな」。変えた理由は、幕切れ近くで知れた)は七之助。
妾宅では、おっかさんが、長火鉢の前にデンと座ってお妾の娘にさまざまに入知恵をする。
落語の方のおっかさんはごく控えめな脇役だけれど、こちらは強烈なキャラ!
拵えも、中年女といったところで、老けてはいない。まだまだ娑婆に未練たっぷりの風情。
獅童が、ノリノリで演じて楽しい。
腹に一物で、偽の心中を持ちかけられ、うっかりOKしてしまったおたかに、
心中しにいって、生き残る心得を伝授するおっかさん。
何度も経験があるらしい。。。凄まじい過去があるおばさんだ。
舞台が心中の吾妻橋になる。
(出語りの竹本が入って、情緒たっぷり・・といいたいが、この演奏がちょっと残念。。。)
もともとどちらも死ぬ気のない心中場だから、
ここはコミカルな七之助のコメディエンヌっぷりを楽しむ。
獅童の母親まで現れて、ほとんどドタバタ喜劇^^
旦那が飛び込み(実は船が橋の下で待ち構えている)、おたかは予定通り後ろに飛んで、家に戻ってくる。
命は拾ったものの、失業してしまった妾のおたか。
母親と、次の旦那を世話してもらえるよう、前回同様藤助に頼もう、と言ってるところへ、
その藤助(片岡亀蔵)が現れる。
ここからは、旦那が書いた筋書き通り、怪談話で、おたか親子を脅しておいて、
幽霊姿の旦那が現れ、実は・・・と本心を明かす。
騙されたことを知ったおたかと母親は・・・。
旦那は、なんでこんな手の込んだ狂言を仕組んだのか?
これは最大の謎で、
自分でも、収支が赤字になったとボヤいている。
たぶん、おたかちゃんに飽きて、安く別れようとしたんでしょうねぇ・・。
後妻にするつもりだった云々は、眉唾物だ。
旦那の渡した手切れの金が偽物とウソつかれ、
投げ返してしまうが、おっかさんが三両くすねておいた、というのは落語と同じ。
芝居では、おたかも、五両くすねた、といってめでたく(?)幕になる。
手切れの金まで取り返そうという、旦那の浅ましさがつくづく嫌になるシーンだが、
お芝居では、二人の女が精いっぱいの仕返しをするところで、溜飲が下がる。
あくまで、コメディとしてお客を十分楽しませてくれた。
そのほかに、北條秀司の「花魁草」で、扇雀が薄幸の女、お蝶を演じている。
安政の大地震の大火で焼け野原になった江戸を逃れてはるばる栃木までやってくる、
中川のほとりで知り合った被災者同士。
大部屋役者の幸太郎と二人で、だるまを作ったりして細々暮らしている。
一年が経ったころ、江戸の太夫元一行に見つけられ、
幸太郎は晴れて江戸へ戻り、役者として再スタートを切ることになる。
お互い相手を大事に思っていたが、お蝶は幸太郎の為に身を引き、
出世した幸太郎の凱旋公演のための船乗り込を群衆に紛れて寂しく見送るお蝶。
獅童が、さえないだるま作りの田舎者から、立派な座頭役者に出世する様をみせる。
一部は、獅童が大活躍だ。
大道具の橋は、「心中月夜星野屋」の吾妻橋と、遣い廻しかな・・・。
幸太郎が江戸へ戻る旅の途中、「累(かさね)様」にお参り・・と言っているのは、
芝居者らしい台詞だなぁ、と思った。
幸四郎、染五郎で「龍虎」(こちらも、竹本がつく)も。
幸四郎のオーバーワークがひたすら心配になる(一部、二部、三部フル稼働)
個人的に、最近良くある、レーザー光線がチラチラと点滅を繰り返す演出はNGなので、
なんともいえない。
せっかく襲名したばかりの幸四郎。
もっと大事に使ってください、と言いたい。
生身の身体だ。酷使して病気になるなんてことはもう二度とごめんだから・・・。
