(コナ・バウムラー・味噌豆)
金原亭小駒・元犬
柳家小満ん・湯屋番
露の新治・雪の戸田川
     <仲入り>
柳家さん喬・福禄寿
 
 
 
開演前に、さん喬師匠がいきなり現れて、
師匠が預かっておられる留学生の方が、「ここで初めて短い噺を掛けさせて頂きます。」
というご挨拶。
 
暖かい拍手の中、
頭頂部を薄いブルーと金髪(地毛か?)に染め分けた、西洋のお嬢さんが出てこられた。
硬い表情ながら、一心に味噌豆を一席。
もちろん、再びの暖かい拍手。
 
落語や、落語家の研究をされていて、
前座さんのように、師匠のお宅で修行をなさっているというが、
唯一やってないこと。
それが実際の高座、ということで、今回大変な舞台が与えられたわけだ。
いい研究論文を、書いて下さい!(^^)
 
さて、ここからが本物の開口一番ということで、小駒くん。
どうも、口調が早口で、サラサラと流れてしまう気がする。
まだ前座さんだから、もうちょっとしっかり大きい声でやる方が
今はいいのでは?と思うのだけど・・サラブレッドも・・。
 
次に上がった小満ん師匠が、
ただいまは開口一番の日米対決で、どうやらアメリカに軍配が・・
と、シャレたことをおっしゃる。
 
小満ん師匠の「湯屋番」は、
おそらく他の方の倍はしゃべるのでは?と思える。
とにかく、クスグリも多いし、今のお客には通じなくなってきてるいろんなことも入るけれど、
それがとにかく楽しい!
久しぶりの、小満ん師匠を堪能。来週の夜会も楽しみだ。
 
仲入りは、上方からの新治師匠で「雪の戸田川」。
怪談噺ということなんだが、やはり殺し場の鋭い表情が眼目。
この師匠、絶対2~3人は殺してる!(ウソですよ~~~!!)
と思えるほどで、ゾクゾクする。
 
歌舞伎の「籠釣瓶花街酔醒」(かごつるべさとのえいざめ)の、
吉原百人斬りの物語の前にあたる話で、元ネタは講談だ。
東京の林家彦六から亡くなられた露の五郎兵衛へ伝えられた噺だから、
そのままに上方言葉で演じるわけだけれど、
 
下野出身の佐野次郎兵衛も、元江戸の芸者のお紺も、
みんな上方言葉なのはなんともこそばゆい感じがしてならない。
米朝一門では、上方に移して演じている方もいるようだけれど、
そちらの方が自然でしょうねぇ・・。
 
しかし、そんなことを差し引いても、新治師匠の熱演は素晴らしかった。
お芝居を見ているような心持で、惹きこまれてしまう。
 
お紺を殺したあとの治郎兵衛の乗った渡し舟にお紺の幽霊が現れ、
ここは下座のおその師匠の三味線に乗って、ちょっと芝居がかった場面になる。
お紺の執念に散る治郎兵衛の命。
お紺を殺めた妖刀村正が、廻り回っておそらくこの度生まれてくる治郎兵衛の子供の手に渡り、
吉原百人斬りに及ぶ・・というストーリー展開になるのかもしれない。
 
雪が覆い尽くす美しくも冷たい景色が幕切れ。名演、心にしかと刻まれた。
 
トリはさん喬師で、お得意の「福禄寿」。
以前一度だけ聴いたネタだ。
雪の噺が続く。
 
この噺が、なんとなく感情移入できずに持て余してしまう訳を考えてみた。
たしかに、長男の禄太郎みたいな、金が身に付かない輩は多いだろう。
だが、次男の福次郎みたいな、まるで菩薩の化身のような、無私の男がいるだろうか・・。
そこに、なんとなく嘘っぽさを感じてしまうからかもしれない。
 
こちらも、お芝居を見るような、そんな充実の高座。
雪を語る師匠方のおかげでひとときの涼をとることができた、猛暑の一夜だった。