春夏秋冬~ヒトトセ~ -2ページ目

春夏秋冬~ヒトトセ~

気まぐれで創作小説をアップする予定です。
ジャンルはエッセイ、ファンタジー、恋愛もの。

僕はとうの昔に絶望したはずだった。

この世界に。

今のこの世の中に。

もうどうでも良くなって、

僕はビルから身を投げた。

だけど。

「残念ながら」

そう、残念ながら。

「ここでお前は生きる」

それは、死の宣告よりも酷な宣告であった。

人間は死ぬと天国とか地獄とか行くもんだと思っていた。でも、実際は。

「まあ、ずっとじゃないがね。君は100の生きている人間を救済するまで死ねない。」

死ねない?死んだのに?
わけがわからない。

ビルから飛び降りて、全身に衝撃を受けた後の記憶はない。気がついたら、ここにいた。
真っ白な椅子に座り、真っ白な部屋の中で。窓の外には青い空と花畑が広がっている。

そして、今、甲高い少女の声が部屋の中で響いている。

「救済って、何をするんだ?」

「僕と一緒に生きている世界に行く。」

「君には姿がないのかい?」

「ずっと君のポケットの中にいるんだけど」

そう言えば、胸ポケットの中がモゾモゾ動いている。

驚いた。

少女だと思っていた正体は小動物だった。
ちゃんと分類すれば、モモンガらしき生き物であった。真っ白な身体に黒くて大きな目。
その目で僕を見上げていた。

「驚くのも無理ないね。僕はリリィ。君のパートナーだよ」

これが僕とリリィの出逢いだった。