また、姉からメールが来た。

 「ここに行け」  そしてアドレス。


 まるで007の指示のようである。


 前述したように、私が住んでいる県は特殊である。

 北部は半都会、中部は県の中心のくせに片田舎、南部はド田舎。

 たぶん、中部、南部では余ってる人がたくさん居るんだろう。


 とうとう、県が動き出した。


 なんと、県がお見合いの世話をし始めたのである。

 県内の店やホテルなど協力してくれる場所をつのり、その場所でお見合いパーティを開いてしまえ!

 そういうシステムが動き出した。


 姉がメールをくれたのは、そのシステムのサイトが開設された翌日だった。(しかし、県外に住んでいるくせによく知ってるな)

 

 で、行ってみた。


 パーティが二つ。

 なぜか、地元の高校で「手作りキャンドルを作りましょう!」 (????) が三つ。

 今やってるEXPOに行きましょう。


 ふむふむ。

 パーティなんか良さそうじゃん。

 とりあえず、メーリングリストに登録して……


 それが、朝。


 で、昼。


 もう一度行ってみた。


 ……全部、Fullになっていた! (@_@) 待て、たったの二時間しか経ってないぞ?

 こんなにせっぱ詰まってるのが多いのか?



後日談


 あれでオドロクのは甘かった。

 前回のイベントがFullになってから、しばらく新しいイベントがなかった。

 一昨日かな。久しぶりにイベントのお知らせがメールで届いていた。高級店でのティーパーティ。

 受信時間は15:00

 メールに気付いたのが15:25。日頃家にはいない私にはラッキーである。

 さっそく行って、参加登録してみた。

 ちょっとサーフィンして、またそのサイトに戻ってみたら、すでに女性の受付は終了していた……


 (^_^; きゃー!


 で。

 16:00ごろにメールが入っていた。


「生憎と、参加希望者は既に一杯となっております。キャンセル待ちがあればお知らせを致します」


 ……25分。


 たったそれだけで、すでに満杯か?

 ちょっと待てよ。

 日頃家にいなくて、PC立ち上げてない私にとって、むっちゃ不利じゃん。


 参加できる可能性、ムチャ薄そう。

 結婚サイトをやっていて、本当に人間って駆け引きの生き物だなあと思いました。

 でもまあ、人生最大の勝負事なんだから、みんな必死にもなるかあ……

 結婚相手を探すって、こうやって生まれた人間不信さえも払拭してくれるような相手を見つけることなんだなあ。(いるのか?そんな奴……)


 しかしまあ、そうやって足踏みしてるわけにも参りません。

 他の手段も講じましょう。

 次は「結婚相談所」というものに登録してみることにしました。

 こちらは有料です。やっぱり、人生最大の賭けだから、こちらも多少は懐を痛まさないと割に合わないのかもと思った次第でございます。


 いろいろありますね。

 全国規模の大手から、地域限定のもの。企業経営から個人でお世話してるもの。


 私が住んでいる県は都会と田舎がまっぷたつに別れているので、あまり地域限定にすると、どうしてもそっちの田舎方面の方の紹介が多いという話しを聞きました。それは困る。同じ県内でも、そっちは他の県にいくよりずっと遠くになって、生活環境さえもまるで異国の地。 なので、パス。

 というわけで、全国規模のサービスを探します。

 前回の結婚サイトの時に調べた信頼度で、上位を占めていたサービスを選択。

 サイトに行って、チャンステストなんてものをして、ついでにアポイントメントも取り付けた。


 勤務の都合をつけて、いろいろ考えてとったアポイントメントなのに、直前で緊急招集が入った。(ーー;)

 しょうがないよな。

 キャンセル。 仕事に行く。


 っが、幸い早くにケリがついたので、ダメ元で電話してみたら「今からでもいいですよ」というご返事だったので、速攻くるまをかっ飛ばした。


 しかし、しょっぱなっから躓いとるぞ。


 大丈夫か?

登録して程なく。

数通の「初めまして!」ってメールが来た!


 来たよ~(゚O゚; びっくりした。


 いろんな人がいる。

 こちらの希望条件ってのも書いてあるんだけど、それ読んでるか?って感じの人もいる。

 65歳? なんで、父とほとんど変わらない年齢の人が…… こっちの希望は35(おない年)~41(義理兄+1)だっつーの。

 東京? いや、私は地元を離れたくないって。


 そんな中で、まあ、メールが続く人が何人かいる。

 10近く上の穏やかそうなおじさん(B)とか、「お互い忙しいけどがんばろうね!」と、本当に忙しそうなおじさんと(C)か。(40半ばをおじさんと言っては悪いのだろうか……)


 B氏は、一通り趣味の話しをしてしまうと、話題が尽きてしまった。

 C氏は、「忙しいけどがんばろう」「がんばってるよ」「がんばれ」 ……スイマセン、息抜きさせてくれませんか?(^_^;


 この二人、どうしようかと悩んでいる。いい人達なんだよな。うん。けどなあ……


 年下の会社重役(D)ってのも来た。何が良かったんだろう。聞いてみたら「鬼平犯科帳って書いてあったから」

 若くして重役になってるから、理想の上司と例に挙げられる鬼平に興味を持ったんだろうか。

 しかしまあ、やっぱりフェードアウトしていったな。

 ノリの軽そうなお兄さん(E)もいた。趣味が登山。私も昔は父に連れられてよく行っていたが、本当に体力的についていけなくなって辞めた過去がある。それを書くと

「体力なんて、遺伝で決まってるんだから。お父さんやお姉さんができてるなら、できるはず。要するに鍛えようとする気がないんでしょ?」みたいなこと書いてきやがった。

 ……なんで見ず知らずの、しかもメール3通ぐらいしかやりとしてないお前に言われにゃならんのだ!(-_-メ) こっちから切った。

 

 似顔絵アイコンがライオンって同い年のひともいた。まあ、あれができる、なんかの賞とった、こんなこだわりがある・・・ プロフにはそう言ったうんちくっぽいことが山ほど書いてある。向こうからメールが来たんだけど、私に目を留めた理由が「まじめな文章を書いているから」。

 まじめ…… まあ、まじめか?

「いや~ん。あたし、そんなのできな~い。一人じゃなにもできないからぁ、だれかたすけてネ(^_-)-☆」

 みたいな文章は絶対書けないな。理屈っぽいともいう。

 書いてくる文章もまあ、硬い硬い。スマイリーなんかまるでない。

 それでもまあ、いろいろ教えてもらった。結構おもしろいかもと思った。んで、「いいかも?」って意思表示したら、

「昨日、先に他の方が『いいかも?』表示してくださいましたので、僕としては、先に来た方を優先したいと思います。失礼」みたいなメールが来た。

 ……先着順かい! (ー_ー;)


 それとか、まあ、サイトにアクセスしてるかどうかって、いろいろな方法で想像つけることはできるわけさ。

 アクセスしてるのに、メール読まない。返事を書かない。んで、5日とか一週間とか後に「忙しくて返事が遅れました……」

 長い文章を書けというわけじゃない。ちょっとした一言でもいいわけだ。


 プライベートアドレスのメールにしたら、開封通知要求設定にしてたりする。んで、こっちがそれすると、通知無視したりとかさあ。


 一度あるお兄さんと会ったことあるんだけど、翌日からメール来なくなった。なんのRESもなしに。


 ……人間不信助長するよなあ。


 そりゃさあ、少しでもいい相手を捜そうとしてるんだろうし、こういうサイトの性格上、二股三股は簡単だよ。私だって、いまも、数人の人と(B氏、C氏含む)メール交換してるさ。

 でも、最低限まもらないと行けないマナーってのはあるんじゃないか?

 二股三股、相手に感づかせないぐらい、明らかに誰かと天秤かけてますってのわからないようにするぐらいの配慮はしようよな。


 バックボーンがわからないってのは、こういうことも簡単にできるってことで、かなりコワイよと思いました。

 ある日、姉からメールが届いた。

 タイトルは「結婚サイト」

 差出人をみてなきゃ、迷惑メールかと思うようなタイトルだ。

 開けてみたら、「行ってみろ」という簡単な言葉と、アドレスだけが書いてある。


 行ってみました。


 そこは高い信用度が売りということなので、他のサイトで一応調べてみました。なるほど上位三位には必ず入っているようです。

 女性は無料。身分証明必須。てんこ盛りのプロフィール。

 ま、個人的にウソをつかれるとそれはそれでしょうがないんですが、時間のない私でもお家で出来る。

 顔がわからないと言う、多少のリスクはあるものの、おおいに興味はあります。


 んでまあ。登録してみました。


 長所とか、短所とか、モットーとか……

 趣味を埋めていくと、本当にこんな女いるのか?ってかんじになってしまった。

 これで興味を持ってくれる男性いるんだろうか。

 なにせ、愛読書、時代小説だもんな~

 ウソついてもしょうがないし。

 ウソついて誰か引っかかっても、そのウソをつきつづける自信なんてないし、大体しんどい。

 探しているのは、かっこもなにもつける必要のない、深呼吸が自然にできるような相手なんだからさ。

 てことで、真正直にこまこまこまこま書いてみました。

 容姿の自信ランクなんて、んなもん、三以上つけられるはずない。


 他の女性登録者のプロフィール見てるとさ、趣味お花とか、興味のあることファッションとか、海外旅行でショッピングとか。テニスとか、クラッシックとか…… 顔アイコンもまあ、カワイイのがずらずらずらずら。


 ……だめかもしんねえな…… (ーー;)

 それから数日は、

「今日はなにした」「今日はこんな事があった」みたいなメールを送ってみた。

 何しろこっちの仕事は不定期。あっちもなにやら忙しいらしい。

 返事も、「大変だね」とかまあ、普通に返ってきていた。


 ところが、2週間ぐらい経ってからかな?

 来るメールの内容が妙になってきた。

 本当に『妙』!


 NHKの討論会をみていて、日本の政治に失望した

 こんな世の中で生きていて何が楽しいんだろう

 11時過ぎたら酒飲んでるから、どんな内容のメール書くかわからないから送らないで

 云々……


 な~んか、『真っ暗』な陰々滅々メール。

 会った時の「まじめで、穏やかそうな人」のイメージと全然合わない!

 最初はまじめにご返事をしていた。

 だが、戻ってくるのはやっぱり真っ暗で、そして、間隔も開き始める。

 

 こっちから送ろうにも、仕事終わって帰ってくるのは大抵11時近くだし、その時間以降には

メールを送るなといわれれば、送るわけにもいかない。


 これは、一体なんだ?


 そして、お見合いから一ヶ月


「一度会いましょう」というお誘いがやっと来た。


 しかし、日にちを決めたがそれからなんの音沙汰もない。一体どうするつもりなんだ?

 それを尋ねたら「そんなにであるかないから、どこに行ったらいいかわからない」

 なら、と思って、まあ一日つぶせそうな場所を提案。「それでもいいけど……」という返事が来た。


 で、当日。


 車で迎えに来た。

 そして、開口一番。

「そこに行くのもいいけど、あんまりそう言うところは好きじゃないからドライブでもいい?」

 ……はあ。 一応、同意。

 そして、どこに行くのかなあと思っていたら、本当にただ延々と行き当たりばったりに走るだけ。

 途中立ち寄ったのはコンビニ一件。

 適当な距離を走ったら、Uターン。

 その間、特になにも会話なし。

 お見合いして二回目だぞ? なんかないか?


 紹介してくれた同僚が、世話人のいるお見合いの場合、お断りもその世話人を介してになると言っていた。でもって、別に同僚からなんにも連絡は入ってないから、お断りじゃないはずだよな?


 だったら、なんかない? これからのこととか、もうちょっとつっこんだことを訊いてくるとか。


 しかし、ない。


 一体、なんなんだ?

 相手はずうっと無表情。心理もよめやしない。


 そして、スタート地点近くに戻ってきた夕方。ファミレスに入った。

 食事中、これまたなんの会話もない。ただ黙々と食べて、そして、相手はタバコを吸っていた。


 会計して、駐車場で車に乗って、そしてやっと


「これからのことなんだけど……」 

「実は、お見合いした後から部署が変わって、そこの上司とそりが合わなくて」


 なるほど、それでいきなり雰囲気が真っ暗になったのか。ちょっと納得。


「仕事、辞めようと思って……」


 ……は? (@_@;)


「次の就職とか、まだ決めてない。これから探すことになるけど、当分はまともに稼げるかどうかわからない。結婚とか言っても、きっと3年4年は先の話になると思う」

「こんな状況で、待ってくれとは言えないし。 ……どうする?」


 ……はあっ? (゚O゚;


 どうする? どうするって…… 私に、今決めろと?

 会って二回目。もらったメールは陰々滅々。お見合い当時のデータはリセットされた相手を4年待てるかどうか?


 そんなあ。年考えてよ~ 女にはタイムリミットがあるんだ。

 しかも、こんなマイナス要素しか見えない相手に貴重な4年、預けられるか?


 答え出したよ。

 現実見つめたもん。


 というわけで、一回戦、終了!

さて、当日。

現場で同僚と待ち合わせ。

予定時間になって、まず相手(仮に『A』さん)方のお連れさんがきた。

そして待つこと20分ほど。Aさん登場。

写真で見るより、まあ、親しみやすそうな人だった。

釣書を見る限り、私でも知ってるような企業に勤めてて、まずまず普通。

タバコを吸うってのだけが、私にとっては減点対象。

写真は起業できている作業服っぽくて、砕けてない人だなあとは思っていた。

「すいません。もっと近いかと思ったら、降りた駅から遠くて……」と、汗を拭き拭き登場したのである。

そこから必死になって歩いてきたらしい。まじめそうな御仁である。


ロビーの喫茶店でお話。

まず同僚が私との関係を話し、私という人間は「こういう人なんですよ」という説明をする。

……背中がむずがゆくなるよね、ああ言うの。持ち上げられすぎてる感じ。(^_^;

そして、相手方も同じことをする。

そして、雑談。いろいろいろいろ。

趣味は、とか。家族は、とか。

いかにも『見合い』!って感じの話しが進む。

ここにいたって「ああ、見合いしてるんだ」という実感がわいてきた。

 なにしろ、こんなもんには縁がないと思っていたのだからして。


同僚は私がタバコ嫌いを知ってるから、「タバコは何本ぐらい吸われるんですか」と話しを振ってくれた。

A氏、「辞めることもできると思いますよ」   ふむふむ。


そして、約1時間経過。

「そろそろ我々は……」

 『あとはお若い人で……』という決まり文句こそなかったものの、同僚とA氏の世話役退場。

 さて、これからどうするか。

 そこでA氏、固まってしまった。「どうしましょう?」


……こういうの、好きじゃないんだ。

昔むかし、本当に唯一「つきあった」と言えるような相手がいるんだけども、そいつがまあ、会ってもなにしても、次になにするか決められない奴だった。

「今日、どこに行く?」

「どこ行きたい?」

「お昼なに食べる?」

「なに食べたい?」

 こちらの希望を優先させてくれようとしたのかもしれないが、何一つ先に決めたことがない。

 ある日なんか、「どこに行きたい?」と、駅で一時間以上固まっていたことがあった。

 ちょっとぐらい何か考えておけ~!

 ……切れて終わった。


 お見合いの席で二人きりになるのはわかっているだろうし、待ち合わせ場所だってあるんだから、近隣どこに行くかぐらい決めておくことはできるだろ。

 それとも、昨今の男の人はこういうプランニングってしないのか?

 20分ぐらいして出たコタエが、「近くの繁華街まで、川沿い歩きましょうか」


 買ったサンダルが、前もって絆創膏はっておかなきゃならないような奴でなくて良かったよ。

 でなきゃ、歩けやしない、そんな長距離。


 30分ぐらいかな? 延々、話しをしながら歩いた。

 雰囲気的には悪くなかった。話しも合った。笑ったりもした。


 繁華街に着いたら、また「どうしよう」

 今度はA氏が「本屋に行きませんか」 ま、嫌いじゃないからいいよ。

 本屋に行っていろいろ興味のある本見て、歩いて、お茶して、また別の本屋行って、晩ご飯(うどん屋だった)食べて、駅で別れた。


 話しは合ったし。

 悪そうな奴じゃないし。

 姉の「おとなしそうな奴ほど、自分の好きにできる」というアドバイスあるし。

 しばらく、様子を見よう。


「お疲れ様」メール送った。

 一応、ご返事返ってきた。


 あ~、慣れない服きて、慣れない事して、疲れた……


 お休み。

 ある日、連絡が来た。

「お相手も会ってみたいっておっしゃってるの。○月○日は空いてる?」

 私の仕事は不定期なので、週末といえ空いている保証はない。しかしそれは幸い次のクールの勤務に入っていたので、休み希望を出すことはできた。

 ので、その日に決定。「じゃ、場所は○○ホテルでね」


 ……日時と場所は決まった。


 そこで慌てたのが服。

 いつもジーンズとスニーカー。持っている一張羅達はそれこそ「結婚式か!」みたいなお堅いスーツ系しかない。

 いくらなんでも……

 そう思っていたら、たまたまやって来た姉が「よし、百貨店行くぞ!」

 彼女はアパレルメーカーに勤めていたこともあるくらい、そう言うことには詳しい。

 いままでだって、一張羅を選んだのはみんな彼女だったりするのだ。

 で、連れだっていろいろ着てみた。

 他の女の子達にとっては普段着にしかならないようなキャミソールやスカートも、私にすれば「お出かけ着」である。気合いを入れる日にしか着ないんだから。

 まず一発目。「あんたは胸ないから胸元開いてるのは貧相に見える。却下!」

 はいはい。その通り。

 二発目。スカートで姉がいいと言ったスカートが9号が存在しなかった。あるのは11号と7号。

「ダメ元だ。はいてみたら」 言われて7号はいてみたら、余裕ではけた。

 いつの間にこんなにやせたんだろう。 最近過労気味ではあるけれど……

(余談。夜に体重計乗ってみたら、2kgも減ってた。体って正直。仕事がハードになってた影響って、こんなとこにでてたんだ……)


 とにかく、及第点がでる一式を買いそろえた。そこで次の問題が靴と鞄。

 何せ、普段はスニーカー。パンプスなんか用はないのだ。

 持ってる靴達は、ほとんど服を買った時にそれに合わせて買ったものばかり。応用なんか効きやしない。

 鞄(バックって言った方がいい?)だって、いろんなものを持ち歩きたがるから、大きなショルダーとかトート、リュックとかしか持ってない。

 ある鞄は……(靴と同じ)


 しょうがないので、またその服装に合わせた靴とバックを買う羽目になる。


 しかし、なんでサンダルとかってこんなに高いんだろ。

 応用効かないし、はやり廃りもあるだろう。それなのに、なんでみんな何足も持っているのか、理解できない。スニーカーならオールシーズン行けるのに。しかも歩きやすい。マンホールの穴や側溝の蓋なんかにかかとをつっこむこともないし、へっぴり腰にならずにすむし、おまけにマメもできないのになあ……


 この一揃えで、ものすごい大枚はたいた。

 なんか、これだけで疲れたよ。

 私はなぜか年上ウケする。

 職業柄、同じ職場で働いている同僚の年齢巾も広く、「上」になる同僚の一人が退職前に紹介してくれた。


「このままだったら、心配なのよ。いいようにこき使われて終わっちゃいそうで」と、まじめな顔で言われた。


 そして、初の『お見合い』とゆーものを体験する。


 まず、釣書というものを用意しなければならないらしい。

 釣書? なにそれ?


 →氏名年齢生年月日。住所等連絡先、身長。なぜ身長?

  学歴、職歴。家族構成。

  趣味等一言。

  それらを、便せんに書いたもの、らしい。

 それに、スナップを一枚つけてちょうだいねと言われた。


 ほほう。


 スナップなんて、まともな奴がない。

 最近撮った写真なんて、この間行ったニューカレドニア旅行だけ。

 しかも、いつもの通り、ジーンズやTシャツ。ついでにキャップ被ってたりするから、お見合い写真には不向き。

 しょうがないから、HDDの中一生懸命探して、去年のだけど藤見に行った時の写真が一番まともそうだったので、それを急いで印刷した。


 それと、釣書を封筒に入れて、同僚に渡した。


「日時とか決まったら電話するわね」そう言って、彼女は定年退職していったのである。

 今年、干支、三週目です。

 で、もちろん、独身。


 なんでこんな事になったのか。 

 たしか、小さな頃は「大きくなったらお母さんになる」ということは、ごく当たり前のことで、そうなると、信じて疑っていなかった。

 中学になっても、高校になってもそう信じていたし、専門学校に行っていた時に「将来何になりたいですか」と訊かれ、「専業主婦」と答えて正直呆れられた。

 看護師の専門学校に行っていながら、なぜ「専業主婦」?

 それを笑うなら、その質問もおかしいと思うんだけど。


 とりあえず、自分はいつか必ず家庭に入って、にこにこ明るい奥さんになると、思っていた。

 だって、星占いでも、細木数子でも、私の運命、私の幸せは「家庭にはいること」「母になること」と書いてあった。


 ところがどっこい。

 

 今、この年になっても、いまだに独り者である。


 何でだろう? いろいろ理由を考えてみる。


 まず、女っぽくない。

     スカートははかない。年中ジーンズ、スニーカー。化粧はしない。髪は短い。幼児体型。

     同僚には「フェロモンがない!」と断言された。


次に、まじめ(らしい)。

    20代のころ、ほとんどコンパとか行かなかった。職場と自宅が離れていて、そんなもんにでていると    電車がなくなる。

    ついでに、タバコ吸わない。お酒飲めない。カラオケ、下手。

    夜に飲みに行っても、全然おもしろいとは思わなかった。


    ついでに言っちゃなんだけど、頭は良かった。要するに、話題が硬かったらしい。

    男女関係にも、ものすごく疎い。そういう話題には入っていけなかった。


好み。

    ブランド志向はほとんどない。シャネルとかグッチとか、まるで興味なし。

    好きな小説は、戦国武将もの、鬼平犯科帳、三国志。これを言うだけで「変わってる」と言われた。

    SFもファンタジーも好きだけど。指輪物語とかナルニア国とか、高校の頃にすでに読破してたし。

    スポーツは苦手。今まで習ったことがあるのは、剣道、合気道。

    アニメやマンガは今でも好きです。


   パソコン。DOS5の頃から使ってる。いまじゃ、その辺のDr.よりよく使える。これも「変わってる」と   言われる要因らしい。


   英語。社会人になってから、一度辞めて突然イギリス留学した。理由はまあ、いろいろ。

   おかげで、日常英会話ぐらいはできる。


 

 思いっきり風変わりな看護婦さんだと思う。

 世間一般に言われる「女の子」の範疇には、入らないと思う。すくなくとも、私の周りには、こんなのは誰もいない。

 みんな、綺麗におしゃれして、着飾って、適当に明るそうにしゃべって、パチンコ行ったりとか、飲みに行ったりとか、そして、彼氏見つけて、楽しそうにしてる。


 私だって「いい笑顔だね」とか、「かわいい」とか、言われたことはある。でもそれって、決まって年配の方からのコメントで、同年代からはない。

 「まじめだね」「しっかりしてる」 これはもう聞き飽きた。性格上、物事は中途半端にできないし、やると言ったからにはやる。というか、もう、この路線から足は踏み外せない。いい加減なことをすると、後味が悪くて仕方がないから。

 「素直だね」 だって、頼まれたことはやらないと。とくに理由もないのに断れない。だから、いつだって貧乏くじになる。


 そして、今の職業である。


 休みは不定期。日勤なら、決まって帰宅は夜の九時とか十時。おまけに職場は自宅から徒歩十分。休日でも夜中でも、呼び出しは食らう。同性ばかりが多く、異性は少なく、それもほとんど既婚者ばかり。

  出会いなんか、まるでない。

 働いて、働いて、働いて。

 月日だけが、無情に過ぎてた。


 ふと、思った。


 これじゃ、いつになったら「奥さん」になれるんだろう。

 あの、信じて疑わなかった未来は、この手で守るべきものは、そして、自分を守ってくれる手は、いつになったら手に入る?


 だめだ。

 このままじゃ、ダメだ。


 細木数子をみると、去年までは大殺界だったらしい。

 なら、それを終えた今、動かずしてどうする!