想いの交差 | snow-tales

想いの交差

大地震後初めて、80歳になる祖母と電話で話をしました。当日は、近所のおじいちゃんおばあちゃん達と一緒に、温泉保養施設に遊びに行ってたそうです。

その後、町は3日間停電。雪も降っていて、お年寄りには厳しい寒さだったみたいです。

自家発電のあるその施設に、祖母達はそのまま宿泊。寒い思いをしなくて済んだそうです。

「本当に運が良かった、生かされた」と祖母。被災した仙台や石巻に、お友達がいたそうです。

「連絡付いたの?」と聞いた私に、ぽつりと祖母は言いました。

「探しようがないよ。それに、みんなもう80だから…」


何も言えませんでした。言葉が思いつきませんでした。

その後もいっぱい話したけれど、何を話したのか覚えていません。ショックでした。

「もう80だから…」

まるで自分に言い聞かせるように呟いた、その言葉の続きはいったい何だったのか…。どんな想いがあったのか…。結局聞けず、心に引っ掛かったままになっています。

「お姉ちゃん、気をつけて歩きなさいよ」と、やっぱり最後は、孫の心配ばっかりの祖母。一瞬垣間見えた悲しみは、もうありませんでした。


今の私には、ただ祈ることしか出来ません。1日でも早く、少しでも多くの人が、心配してくれる誰かの元へ帰れます様に…。