生まれた瞬間から

世界の半分は君の味方



生と、死と。

世界は二つに分かつけれど

君を独りぼっちにしたりはしない



君は生まれたのだから

君は生きているのだから



君が拒むのは死だけでいい

生きている限り

君の生きる世界は

君の味方
気付くのはいつも



壊れた後



ぴったりと貼り付いた

喉元の嘘が

息を詰まらせる



大切なものほど

大切になるのは



壊れた後



いつまでも繰り返される

デタラメな真実が

銃声と共に笑う




この誰も知らない楽園の

静かに暮らす平和な空の下

意図も簡単に

誰かが死ぬ




夜の恐怖を忘れたと同時に

朝の喜びも忘れた




気付くのはいつも



壊れた後
温もりから零れ出してくる

あの日の声も、景色も

触れる度に揺れて

また熱くなる



傾きかけた太陽が

目から離れてくれない

熱くなった瞼は濡れて

夕焼けは雫に溶けていく



一羽の鳥が啼いていた

迷子の子供がようやく親に出会えた



ただ、何も言わずに

一本の電信柱が立っていた

何も言わずに立っていた



夕焼けは未だ

歪んでいた

紅く、あかく。



伸びていく影に

鳥は啼くのを止め

迷子はもう家路についた



一本の電信柱の下

一輪の花を見つけ

何も言わないソレは

何も言わずに笑った気がした



温もりが零れ出してくる

あの日の声が、景色が

触れる度に揺れて

また熱くなる



あの夕焼けのように
失うほどの速度で

走り続けてきたんだね

痛みに気付く暇もなく

ずっと耐えてきたんだね



流れてきた景色を

思い出す事も出来ないんだね

忘れる事すら出来ないくらい

思い出せないから





何を見つけましたか?





ずっと前を走り続けて

ずっと前を追いかけて





何か見つかりましたか?





何もない景色

何も残らない想い

もうこれ以上

何を失うのですか?




よく、走りましたね

よく、耐えましたね





もう、後ろを向いても

怖くないですよ