夫婦の揉め事は、

始めはチカやヒロのことが多かったが、

次第に夫婦間の問題に変わっていった。

私の推測だけど、

お母さんがチカやヒロの文句をお父さんに言い、

頭に来るとお父さんは見せつけの形で子供を殴ってお母さんに見せる。

でも、お父さんの本心は、

自分の子供の文句ばかりを言われるのは嫌だった。

そのうち、お母さんの悪い所を探して攻撃するようになった。

お母さんは自分の文句を言われたらカーッとヒステリーを起こす。

しまいにはお互いの短所を責め合うようになる。




基本、2人とも激情型で、

瞬間的に怒りマックスになるし、

終わると涙もろくて感傷的になる。

ただお互いの気性が荒く、

毎回エスカレートしていき、

家中のものを投げ倒し、

食器は割られ、

殴り合いの末、

包丁を持ち出すなど過激なものに変わっていく。

その間の私は体を張って仲裁しなければならず、

怒声、破壊、暴力の連続が数時間続くこともある。

次の日は体が痛い。


あの頃、
中学生になった私は刃物を持つ父さんから母さんを守らなければならない。

どうにかその包丁を下ろさせないといけない。

力では勝てない私は説得するしかない。

泣きながら説得して、

喧嘩が終われば母さんの愚痴を聞く。

その次の日も聞く。

これで気が済んでくれるなら、

私は全部聞いてやらないと。

そう思っていた。




どうか、どうか、

今夜は喧嘩しませんように。

家族で暮らしたいと願っていたわたしは、

いつのまにか、

喧嘩しないことを願っていた。

あの頃のトラウマで、

今でも台所に一本の包丁しか持っていない。