コウちゃんはずるい男だ。
結婚はできないだけで、
浮気はやや本気になったけども、
カホとは別れたくないんだ。
全部許してくれ。
今まで通り、やっていきたい。
こんな身勝手な言い分なのに、
すぐに別れましょうと言えなかった。
カホはずっと俺の1番なんだよ。
ちなみに、何番まであるわけ?
結婚はできないだけで、
別れたいなんて思ったことない。
気持ちはずっとカホにある。
どうしてもというなら、
会社の子とは別れるから、
カホは何も心配しないで、
このまま一緒にいよう。
なんだか言ってることがめちゃくちゃだ。
彼は、私のような生い立ちだと、
良識ある家なら、
親が反対しない人はいない。
だから、良いとこに嫁ぐなんて、
カホには無理だと言った。
みんなには、コウちゃんの浮気で結婚がダメになった。
ということになっているが、
真の理由は妾の子だからとは知られてなかった。
浮気性のこともショックだったが、
彼の両親が私を受け入れるはずがないと言われたのが最もショックだった。
私はちゃんとした結婚がしたかったんだ。
みんなにも認められ、祝福してもらえるような結婚をしたかったんだ。
それをコウちゃんが1番知ってたのに。
なのに、お前が望んだような結婚は、
叶う訳ないって、
どうして言っちゃったんだ。
私が何をしたと言うのだ。
産まれた時からまともな結婚は無理って言われてるようなものじゃないか。
今まで頑張って生きたのに、
真っ当に生きてきたのに、
人様を傷つけないよう、
不倫からは遠ざけてきたのに、
全部意味ないんじゃないか。
これほど全否定されたような気分になったことは今までになかった。
悔しい。ただ悔しい。
結局、定められた人生に勝てないなんてさ。
私が苦しんでる間でも、
コウちゃんは会社の子と会い続けた。
私は部屋でその証拠を見つけ、
コウちゃんに突き付けて言った。
私はもう結婚しないでいい、
でもあなたと一緒にいるのはみじめだ。
私の境遇を全否定して、
私を裏切って、
浮気性で借金まで作って、
ずっとウソついてたコウちゃんにしがみついてるなんてみじめだよ。
楽しかった思い出をくれたことには感謝するよ。
あなたが幸せになることを祈ってる。
今日でもう会いません。
自分に言い聞かせるみたいに、
私は別れを告げた。
もう絶対に、コウちゃんには戻らない。
強く決心をしないとまた、
ずるずると切れなくなっちゃう。
コウちゃんは泣きながら嫌だと駄々をごねた。
彼女とは別れるから考え直してくれよ。
俺はカホの幸せなんか祈れないよ。
俺から離れるやつの幸せを祈るほど俺はできた人じゃないよ。
カホが居ないとダメなんだよ。頼むよー。
この人は私に嫌われたくてこんな憎い言葉を言ってるんじゃないかと思ったが、
後から思い出すと確かに自己中心的な性格だったなと気づいた。
私と別れた半年後、
コウちゃんはその子とデキ婚で、
それから子供を3人設けたと聞いた。
長い交際は実らず、
縁がある人なら一年足らずで結婚するんだなと、
つくづく思った。
が、あとで気づいたのは、
コウちゃんは彼女に出会ってから、
結婚するなら彼女のほうが良い。
私を不倫相手としてできるだけ繋いでおけば良いと思ったのかもしれない。
だから、私とは結婚はできない、
誰とも私とは結婚しないはず、
俺にはお前が1番だ、別れたく無い。
でも今は彼女とは別れない。
このむちゃくちゃの言い分がつながる。
私がずるずる付き合っても、
彼は私に隠れて結婚したのだろう。
そうすると、
私は愛人になってしまうところだった。
やっぱり別れてよかった。