やはり何よりも演出、それが問題だ。
今回も原作準拠で取り立てて大きな変化は無いのですが、やはりチラホラと「???」な演出によって陳腐に見えてしまう箇所が多々ありました。
もうこういうモンだと思って諦めるしか無いのかなぁ……。
結構単純なところなんですよ。
例えば、
冒頭エドの悪夢シーン
お母さんに錬金術で作った馬を持っていく。
↓
母「流石あの人の子供ね」
↓
画面暗くなりトマトを落とす、エド顔上げる
↓
錬成された化け物っぽい母(声も変わる)「でもお母さんはちゃんと作ってくれなかったのね」
↓
後ろにニーナとアレキサンダー
↓
キメラ化に変化「アソボォ~」
こうなってました。
が、お母さんが変身&ボイスチェンジして喋るのでバタリアンみたいになってしまってるんですね。
変声後が妙にオカマっぽい声だし。
笑えるシーンならいいんだが、ここは結構シリアスでなきゃ締まらない。
母「流石あの人の子供ね」
↓
母(声は普通、呟くように)「でも……お母さんはちゃんと作ってくれなかったのね」
↓
トマト落とす、エド顔上げる
↓
化け物母(無言で吐息くらい)
↓
後ろにキメラ化したニーナ「オ……ニイ……チャン……(ア……ソボォ……)」
こんな感じにした方が怖さは出ると思うんですね。
勿論セリフも常に急いでるので、もっとゆっくりにして欲しいんだな。
尺の問題はあるけど、色々と削れるところもあるはずだと思うんだよなぁ。
スカーの登場シーン
エドが噴水で考え事してて画面が引くと、いきなりスカーの後ろ姿が増えてる。
唐突に人が増えてるから
「……誰? 通行人?」
みたいな印象になっちゃうんですねコレ。
結果としてシュールな感じに。
色々方法はあるんですが、奧にエド達、そこへスカーの足下だけがアップで入ってくる。
で、俯くエドのアップに「鋼の錬金術師だな」とセリフだけ入れてエドが顔を上げる。
そこにスカーのアップ。
続いて力のはいる手のアップ。
とか。
憲兵がエドを発見し呼び止める。
その後ろから手がヌッと出てきて憲兵の頭を掴んで人体破壊で憲兵殺す。
「貴様が……鋼の錬金術師か」
とか。
こういう形の方が一般的な演出だと思うんだけれど、この作品はあんまりやらないんですよねそういうの。独特で面白くなるなら良いんだけど、どうも切れ味が悪い印象なので普通にやってくれた方が嬉しいんですが。
オートメイル破壊シーン
顔アップのまま部品がちょっと見えてる感じになってた。
あそこは原作で夏目房之介だかが「あんなもんでオートメイルが動くはずもないが、ああいう部品の描き込みを見せる事でエドの驚きを表現し、読者にショックを与えている」みたいな事で評価していた箇所なんです。
だからそこは原作みたいに描き込もうよと。
実際インパクトがかなり薄かったんじゃないかなぁ。
参考・一期と二期のオートメイル破壊シーン比較
アルがエドを殴るシーン
「このバカ兄!」
で引き気味のカットに変わり、アルぶん殴ってエドがくるくる回る。
完全にギャグ。
ここは原作でもギャグ成分が含まれている記憶があるんですが、厳密に言えばもっと大きな流れがあって
アルを心配するエド、アルの反応が無い
(アルが生きてるかどうか不安になる)
↓
いきなりアルが殴ってエド吹っ飛ぶ
(ビックリ&安心して少し笑う)
↓
と、思いきやアルのパンチが兄を逆に心配しての事だった。
悪口のようでお互いに思いやっている二人、生きている事を喜ぶ。
(兄弟の絆に感動を覚える)
っていう感じなんですね。カッコ内は受け手に与える効果。
心配→驚き&笑い→感動という意外性の3コンボで畳みかける箇所。
だからギャグのバランスも考えないと、流れが悪くなっちゃう。
だからここはグレンラガンのカミナがシモンを殴る所みたいに過剰なアクションで笑いと同時に迫力を出してみたり、逆にエドの背中から吹っ飛ばされるところを大袈裟に描く……というようなオーバーリアクションで、画面の迫力を殺さないまま笑いに持っていくような工夫が必要な気がします。その方が、流れを切らずあとあとの感動を引き込みやすいと思うんでね。
セリフにしたって、
「でも、生きてる」
「あぁ、生きてる」
も
「でも…………生きてる」
「あぁ、生きてる」
(エドの方は確信的に力強く言うので、アルに比べ短くて良いかな?)
みたいな間が欲しいんだよなぁ、間が。
これはもう最初にも言いましたが、全体的な話です。
やっぱ尺の問題かなぁ。
マンガは読者がセリフの間もある程度自由に変えてる部分もありますけど、アニメになっちゃ時間は同じになりますからね~。
とまぁ、演出に関する苦言ばかりが先行してしまったような感じはありますが、案外知らなければ「そんなもんだろう」で観れてしまうのかもしれません。
だから一応「そんなもんか」という心境で観ていこうかなぁという気持ちにもなるのですが……来週になってどういう事を書くのかは自分でも分かりません。
ま、一期と内容被ってるあいだは仕方ないような気もするんだよな~。
物語も伏線部分だし、他の知識が必要な箇所が殆どなので語る事も多くはない。