設定改変部分
アニューとロックオンは一旦和解。アニューはリボンズに操られるも抵抗する。ロックオンが近寄ろうとしたその時、
一条の光がアニュー機を貫く。アリーの乗ったアルケーガンダム(改)だった。リボンズはアニューの心理変化を読みとり、もしもの場合は撃墜するようにと伝えていたのだ。
ロックオンは怒りに駆られるが機体は中破しており、アルケーは嘲笑いながら去っていった。
で、最終戦。
起動要塞CB攻略中、ゲートより中に入るロックオン。
そこには彼の全てを奪った男が待ちかまえていた。
「よぉ、待っていたぜ」
「お前は、何故イノベイターに協力する?」
「しれたこと、楽しいからさ。奴らに付いていけば手強い相手とも戦える……てめぇらみたいななぁ」
「ほぉ、じゃあなんで俺を待っているんだ、刹那とは因縁もあるんだろ?」
「リボンズのお達しだよ、それに因縁ならてめぇともあるんだぜ」
「俺は……兄さんじゃない」
「ほう、アイツの弟だったか。でも関係ねぇなァ! お前も殺して、その後であのガキもやってやるよ!」
その言葉を聞いて、鼻で嗤うロックオン。
「嘘だな」
「あぁ?」
「お前は戦いたいんじゃない。壊したいんだ、一方的にな。どうしてリボンズの命令に従う? どうして刹那とは戦わない? 簡単だ、お前はアイツらを畏れているんだろ? 自分よりずっと強いアイツらを」
「この野郎……言わせておけば」
「手強い、とか言って勝てそうな相手にだけ喧嘩売って、弱い者を虐げて、自己満足に浸る。それがお前の正体だよ」
「その口、すぐさま止めてやるよ!!」
アルケーのファング舞い、ケルディムの残存するシールドビットとライフルビットが迎え撃つ。
互いが互いを相殺し、巻き起こる煙の中からアルケーが飛び出した。
「やっぱり戦いは白兵戦に限るぜ」
ブレードがケルディムのライフルを弾き飛ばし、装甲に傷を付ける。
ロックオンも拳銃型のライフルで応射するが、全て見切られ、防がれる。
閉鎖空間での近距離戦、白兵戦を得意とするアルケーと狙撃戦主体のケルディムでは明らかに分が悪い。
再びアルケーのブレード、辛うじて凌ぐが拳銃をも切断される。
もはや、まともに扱える武器など無い。
「はっ、ザマあねぇ。俺に虐めが好きだとか言ってたなぁ。じゃあお前は弱い者ってか」
アルケーのブレードがケルディムを貫く。コクピット直撃は避けた、しかし機体損傷は小さくない。
「そうさ、俺は弱い……だから」
トランザムを発動させるケルディム。
「それか、だがこの状況じゃあ意味無いぜ、もがきながらくたばりなァ!」
更にブレードを差し込むアルケー。
と、ケルディムはアルケーの手と体を抱え込むようにがっちりと掴み、機体の位置を入れ替える。
アルケーがゲートを背にしていた。
そのまま突進するケルディム。
「だから俺は……」
ニヤリと笑うロックオン。
両機共に、CBの外へ飛び出る。
「まさか……」
アルケーが頭上を見上げると、ライフルビットが一機のみ外壁に沿うように浮かんでいた。
「狙い撃つんだよ!」
ライフルビットからの光芒がアルケーに吸い込まれ、爆散した。
「うおおぉぉぉぉぉっ!」
両機がようやく離れる。
共に大破、だがアルケーは既にGNドライブをやられコクピットも亀裂が入っている。
「ハァ、ハァ……」
アリーは辛うじて生き長らえていた。
その様子を見ると、ロックオンはコクピットを降りてアリーに近付く。
「狙撃手としても失格だぜ、お前さんは。肝心な部分で外すとはな。一撃で楽にするのが慈悲ってもんだろうが」
ロックオンは冷静な顔で見詰め返す。
「わざとに決まってるだろ、お前を死なせない程度に機体を破壊した。脊髄をやられてるな。それじゃ再生治療すら出来ないだろう」
「ちっ、全くだ。我ながら情けねぇ……殺せよ、復讐相手が目の前でくたばりそうになってるんだ。絶好のチャンスだろ」
ロックオンはそれを聞くと、銃を取り出してアリーに向けた。
そのまま、沈黙が続く。
「早くしろ」
「やなこった」
そう言い様、ロックオンは銃口を頭上に向けた。
一発だけ、虚空に向けて引き金を引く。
「なんだと、ふざけんな! この状況じゃ俺はどうする事も出来ねぇ。生き延びたところで、戦えもしなけりゃ意味がねぇんだよ!」
「戦えよ、お前の重ねてきた罪と、そしてお前の動かない体と。今のお前さんは殺す価値すらねぇ……それに言ったろ? 俺は兄貴とは違うんだ。もういない人間の為に復讐してやるほど出来ちゃいねえよ」
自嘲するかのように、やや口を歪める。
「だがな……お前が万が一元に戻って、また世界に争いの種を蒔くなら、その時はためらいなく撃ち抜いてやるよ。過去じゃなく、未来の為にな」
軽く手を振ると、ロックオンはケルディムに戻り、去っていった。
「ちっくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!!!!」
残されたアリーの叫び声だけが、宇宙に虚しく消えていった。
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解説? みたいなもの。
本編ではライルロックオンがアリーを殺してしまった。
コレ見て私はひっくり返ったね。
「それじゃ兄貴と同じじゃん!」
兄貴は刹那には変われといい、またライルも事あるごとに兄貴との違いを劣等感らしきものを伴いつつ口にしていた。そして本編で刹那がアニューを殺した時、刹那に銃を向けながらも撃てないで兄貴の名前を呼んだ。
何故ここでアニューの名前を呼ばないのか?
それはニールが復讐の引き金を引いた(彼も刹那は撃たなかったけど)男だからであり、ライルは引き金を引けなかった男だからである。復讐をする動機の名を呼ぶシーンではなく、復讐出来ない自分に歯がみするシーンだったんだ。
にも関わらず、アリーを殺してしまった。
復讐の引き金を引いたニール自身が「変われなかった俺」と言ったり、ルイスの復讐劇が精神崩壊を引き起こしたりする事からも分かるように、00は基本的に復讐に対して否定的な物語だ。
だからライルがアリーを殺すのは成長じゃなくて退行に等しい。
これは個人的な意見と言うよりも00的な価値観に則った上での見解ですよ。
と言う訳で彼らの因縁を終えるには、
1・ライルが復讐を果たさず
2・アリーが動けなくなる(動いたらまた争うからねコイツは)
という条件が必須なんですね。
そして更に厄介なお話としてアリーは一期の時、刹那のライバル的な存在としても書かれている。
だから自分は刹那のライバル大杉だろ……と思っており、ロックオンと刹那とどちらがアリー倒してもキチンと因縁が解消されないなぁと考えていました。
更に刹那に負けた後、ロックオンに再び負けるのもなぁという感じだし、刹那のが強いから逆はもっと無い。
もっと言えば何でアリーってリボンズの使いっぱになってんの? というもっともな疑問まで重ねられた結果、
「アリーは弱い者イジメしか能の無いチキン」
で
「半身(ほぼ全身)付随になった上、ロックオンに殺す価値もないとか見下される」
というある意味一番イヤな結末を迎えさせてみました。
もし復活したらまた戦い始めるよなぁという心配もあったので、ロックオンが今度復活した時は復讐ではなく、平和の為に倒してやるみたいな方向にしました。
最後付近に、
「もういない人間の為に復讐してやるほど出来ちゃいねえよ」
とあります。シニカルに聞こえるセリフです。
ただ、以前自分が書いた00ラストでロックオンは「アイツの代わりに」と言って他のマイスターや刹那と共に平和への一歩を踏み出した人類を見守り続ける道を選びます。
もし、ラストとコレを繋げるとすれば人間ではなかったアニューの為、また復讐でもない平和の為なら、ロックオンはもういない存在の為にだって動くよという意味にもなります。
↑だと自分の家族の為には動かないのかってツッコめますが、家族の為にはニールロックオンがやってくれたというのが一つ。
もういない人間の為にも動くけれど、それは復讐じゃないよ……というのが二つで、その辺りは好きに解釈出来る方がいい感じじゃないかと。
とまぁ、以上を自分で書いておいてなんだが、
このロックオン、カッコ良すぎる気もする。
少なくとも「あの」本編よりはマシかなと。