立ち並ぶビルのひとつに振り下ろした槌が射抜いた五寸釘は確かに藁人形の頭部をとらえ、隣のビルの屋上から呻く声をきいたような気がした。手応えはあったがこちらも確かに深手を負った ほとばしる血しぶきが地面に描く模様を脳に刻む、これは消えてしまう表装、手のひらに掬い上げておけ。呪詛の言葉をつぶやきながらゆっくりと歩を進めている🌛