先日、朝のテレビ番組にツレちゃん（鳳蘭さん）が出演されていたので、録画していたのを見ていたら、ちょうど宝塚時代の『風と共に去りぬ』の話をされていました。

ツレちゃん曰く、あの付けヒゲは笑った状態で付けないと、真顔で付けると伸縮性が無いので笑えなくなるそうです。しかも、糊でかぶれて大変だったこと等々。

その後、男役の型についても伝授されていました。相変わらずお元気そうで、ツレちゃんの話はいつ聞いても楽しいです

そこで改めて『風と共に去りぬ』の舞台写真が載っていた当時の宝塚関連の本を見ていたら‥‥

ヒゲが付いている写真と付いていない写真が混在していました。同じ場面でも1977年（昭和52年）6月号の「宝塚グラフ」の舞台写真にはヒゲが付いていないのに、同じ月の「歌劇」にはヒゲが付いていました

よくよく調べてみたら、ショーちゃん（榛名由梨さん）の話では、初めの頃は2部からだけヒゲを付けていたけれど、途中からは1部もヒゲを付けるようにしたそうです。そういえば、当時そんな話を聞いたような記憶が‥‥？

ツレちゃんは最初から付けていたと「歌劇」8月号の新聞公演評には書いてあったんですが、どっちだったんでしょうか？1部だけの峰ちゃんの新人公演の写真にはヒゲは付いていました‥‥。

1977年6月号の「宝塚グラフ」でショーちゃんツレちゃんが〝レット・バトラー〟同士で対談されているんですが、とても興味深い話をされていました。

中略

鳳　　「ショーちゃん、どの場面が一番難しいですか？」

榛名　「私ね、最初は一部の方が演りやすいと思ってたの。二部の方が心理描写が難しいと思ったから。ところが舞台に上がったらぜんぜん違うわけ」

鳳　　「そう？」

榛名　「逆になったの。もうどんなに一部が難しいか！」

鳳　　「いやー、どうしよう」

榛名　「二部はいい台詞がいっぱいあるし、最後の別れの場面まで持って行く計算がある程度できるのでも、一部のレットは、ヤミ屋で遊び人で、アメリカ人の持ってる何ていうのかな‥‥」

鳳　　「いかした感じ？」

榛名　「うん、いかしたっていうかしゃれたっていうか、いかにもアメリカ人の雰囲気をにじみ出さなきゃいけない。それでいて、天衣無縫な明るさとか、スケールの大きさとか、純粋さとか、レットの色んな魅力が全部一部に集約されていると思うの。それを見せなきゃいけないから、一部は難しいよ」

鳳　　「私、まだそこまでわからへん（笑）難しさがわかるっていうのは、すごい進歩ですよ」

榛名　「私わりと律儀で、お遊びができないタチでしょ。でも一部のレットは律儀になったらいかんわけよ（笑）だから、自分のニンでない役を演ってすごく勉強になるわ。毎日毎日考えながら演ってるの。袖に引っ込んでからもこれでいいのかなーって首かしげてる」

鳳　　「私、まだ悩む段階にも行ってない感じ」

榛名　「毎日演れば演るほどできるの。スカーレットとのやりとりにしても、ミッキー（順）の出方が毎日違うわけ。だから、私も受け方を変えてね。おもしろいよ」

鳳　　「ミッキー、よく演ってる。遥くららさんは、すごく新鮮で、いかにも〝新人〟て感じがするの。下級生と組むの大変でしょうってよく人に言われるけど、そんなふうに思ったことないわ」

中略

榛名　「とにかく、星組の舞台楽しみ。いつ観ようかな‥‥」

鳳　　「こわいな。初日が開いて大分たってから観てくださいね」

榛名　「一週間後くらい？」

鳳　　「もっと後。千秋楽（笑）」

なるほど。そうなんですね。そうだったんですね

この対談を読むまで、私もずっと一部のレットの方が見せ場もないし演りやすいのかな、と思っていました。でも、だからこそ難しいのか‥‥。

さすがショーちゃんです。46年も経ってから読んで、ようやくわかりました。

たぶん、子供の頃にも読んでいたかもしれないけれど‥‥😅

考えが飛躍しすぎかもしれないけれど、植田先生が新人公演で峰ちゃんに一部のレットを演らせたのは、そういう意味もあったのかなと思ってしまいました。

同じ作品でも、その時の年齢によって感じ方が全く違ってたりするんで、もう一度、ショーちゃんとツレちゃんのレットが観たかった😢

もちろん、峰ちゃんのレットも（一度も観たことがない‥‥）

『風と共に去りぬ』 1977年星組公演 ～その2～

『風と共に去りぬ』　1977年星組公演　～その2～