もしも。
運動機能が少しずつ低下していき、
歩くことも
笑うことも
声を出すことも
やがて箸を持つことさえ叶わなくなったら。
そうしたら、私はどうするだろう。
- 1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記 (幻冬舎文庫)/木藤 亜也
- ¥560
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この本は、15歳で小脳が機能しなくなっていってしまう病を発病した少女の手記です。
初期の頃は本人はそれと気が付かないまま
そそっかしい自分
だからよく転ぶのだと思っているだけだったのに。
病気はあっという間に進行していきます。
進学校である難関高校に入学した時は
人の役に立つ仕事がしたい
と将来の夢を描いていたのに。
1年で一人で歩くことは困難なほどになり
学校から養護学校への転校を進められます。
聡明な亜也ちゃんはなんとしてもその高校で学びたいと
勉強もリハビリもがんばっていたのに。
この本を読んで感じたのは
障害をテーマにしたドラマとは違い
人の冷酷さについても描かれている、ということ。
亜也ちゃんが体験したことそのままだから。
看護の家政婦に冷たくあしらわれたこと。
病院で手すりにつかまりよろよろと歩く姿に
見知らぬ母親から
「いい子にしていないとああなってしまうのよ」
などと教育の材料に使われてしまったこと。
進学校の教師の、とにかくエリートを送り出すという狭い価値観の中で
やっかいな生徒としてしか受け止めてもらえなかったこと。
そして、だからこそそうでない人の優しさに気が付くこともできて。
そんな人との出会いの中でも人間に絶望することなく、精一杯を生きたこと。
人の役に立つ仕事がしたい
という夢から
お箸でご飯が食べたい
そう夢を変えた亜也ちゃん。
でも、彼女の2番目の夢は叶わなかったけれど
最初の夢はきっと叶っている。
この本を読んだたくさんの人に
がんばる勇気を与えてくれる。