復興に対する熱い情熱を失ったムーですがその日その日を生きていくには必死です。

弟集めもひと段落しているのでとりあえず復興資金を稼ぐために働いています。

今日もいつものようにしゃちょーとせんむといっしょに出勤します。

ムーの短い足ではいつまでたっても北広島駅までつかないのでいつもせんむの自転車の
カゴにちょこんと座っていきます。


シャー自転車 (自転車が走る音)  


ムー「む。朝はまだ冷えるむな、せんむ。」

せんむ「うん。」

そんな会話をしている中・・・

ブブブブ!!!ブゥーン!!ブブブブ・・・

せんむが一生懸命こいでる自転車を並ぶまもなくスクーターが抜いていきます。

しゃちょー「最近あのバイクよくみるよね、いいよね~あっというまに駅についちゃうだろうね。」

せんむ「そうだな~ いいな~」

ガタガタガタ!

どうやらムーがカゴの中で暴れています。

ムー「おら!せんむ! ぬかれんな! 」

せんむ「んな無茶な・・・  ほら、速すぎてもうみえんよ。」

しゃちょー「スクーターって二人乗りできんの? できるんだったら買ってもいいよね。」

せんむ「50CCのじゃ無理じゃね? せんむ普通免許しかもってないから50CCのやつしか
今の免許じゃのれんし。 」

しゃちょー「そっかー」

せんむ「しかもしゃちょー、ただでさえ運動不足でせんむ、こんなにブクブク太ってるのに
数少ない運動の駅までのチャリ通までやめたら80キロとかなっちゃうぜ~」

しゃちょー「そうだね~」

※せんむは若い頃はやせていた。しゃちょーと出会った頃は174センチ58キロくらいだった。
私が太ってみえるからあんた太りなさい太りなさいと言っていた。
それがいまや78キロ。今度はあんたやせなさいやせないさいと言われている。


ムー「ギリギリギリィ・・・」

ムーはどうやら抜かれたのがどうにも許せないみたいです。 歯をかみしめています。


そしてあくる日もあくる日もそのスクーターに抜かれます。


ムー「ファキュー! もう、何やってるむ!  毎日毎日こんなに抜かれて腹たたんのか!
貴様それでも日本男児か! 」

せんむ「スクーターとタメはるのなんて無理だよ、ムー。朝から血管きれてあの世いきだ。
しかもフィンランド出のムーに日本のなんたるかを言われるのもねぇ・・・」

ムー「言い訳はもうけっこう! プィ!」

しゃちょー「ほっとけほっとけ。 そんな馬鹿ムーミン。」

せんむ「うむ。。」


ムー「馬鹿ムーミンとはなんだ! 馬鹿っていうやつが馬鹿だむ! ムキィ!!!」

ムーの怒りは頂点に達した模様です。そうこうしてると・・・

ボテ

カゴからムーが落ちてしまいました。烈火のごとく怒るかとおもいきや・・・

ムー「! ピコーン! 」

ムーはなにかひらめいたようです。

ムー「フヒヒヒ・・・」




ムー(せんむが太ろうがどうなろうがしったことじゃないむ・・・ ムーにはあの魔法の箱が
あるじゃないか・・・)


しゃちょー「なにさっきまで怒ってたのに今はニヤニヤして。」

( ) で囲まれた声は心の中の声なのでしゃちょーもせんむもわかりません。


せんむ「???」

電車に乗ったあともムーはニヤニヤしていました。

それぞれが職場に向かい、夕方になりました。

帰りはムーのほうがしゃちょーやせんむより早いので駅までは会長が迎えにきてくれます。

ムー「プルルル~  もしもし会長、駅に着いたむ。むかえきてむ。」

会長「ムーちゃん、わかったよ。まっててね。」

ムーは会長が向かえに来る間もずっとニヤニヤしています。

プップー

どうやら会長が来たようです。

ムー「ガチャ、いつも悪いむね会長。 」

会長「息子の親友さんですからね、ムーちゃんは。  それより、今日は
ずいぶんご機嫌さんですねぇ。 お刺身にタンポポのせるお仕事、そんなに気に入ってるの?」


ムー「むしゅしゅ。 ムーのこの短い手足で出来る仕事はあれくらいしかないむ。 いいとこに
ひろわれたむ。  けど、機嫌がいいのはそれが理由じゃないんですむ、会長。」


会長「そうかいそうかい。 ムーちゃんがご機嫌なら会長もうれしいよ。」

ムー「むしゅ!」

そうして家に到着しました。

ムー「ガチャ、ただいまむ~」

にゃんきー「ニャ~ン」(おかえりにゃ、ムー と、言っている。)

ムー「うん、ただいまむ。」

にゃんきー「ずいぶん機嫌よさそうにゃね、ムー。」

ムー「むふふ 」

にゃんきー「最近機嫌悪かったのにどうしたにゃかね。」

ムー「それはあとのお楽しみむ! じゃ、ムー忙しいから自分の部屋いくむね!」

にゃんきー「おーわかったにゃ。 」

トントントン・・・(ムーが階段上る音)  ガチャ(部屋のドア開ける音)

ムー「ひひひ・・・」

トロール「にーさん、どうしたですトロ。頭おかしくなったですトロか?」

ムー「うるさい、青豚。 ふひひ・・・」

トロール「あ・・・お・・ぶた・・・だと・・・?」

ムー「魔法の箱・・・魔法の箱・・・ポチッとな。」

ブィーン・・・ カカカカ・・・・ (パソコンを立ち上げる音)


ミン「にいさん、いきなりどうしたミン?弟の捜索を再開したミンか! やっとやる気に
なってくれたミン!」

ムー「ヤフオク・・・ヤフオクと・・・」

コムー「とーさん! 再開けむね!弟探し再開けむね!」

コジ「もうどうでもいいみたいなこと言ってたけどやっぱりやるコジね~」

ムー「すべてのオークションから・・・オートバイと・・・」

ミン「!?」

トロール「にーさん、弟はオートバイのところにはいないですトロよ?あたま沸いたトロ?」

ムー「う・る・さ・い・ぞ・あおぶた。」

トロール「またあおぶたって言った・・・」

ムー「どれどれ・・・  お!  結構安く売ってるじゃないむか! お~これは速そうむ!」

コムー「あの~とーさん? なんでバイク?」

ムー「ん?当たり前のこと聞くな。バイク買うからだ。」

えええええ!!!

ミン「どういう心境の変化ミン?」

ムー「これには海より深いわけがあってだな、話せば長くなるむ。」

ミン「どうせ水溜りより浅いその理由をきかせろミン。」

ムー「毎朝スクーターに抜かれるのが気に食わない。以上。」

一同「 ポカーン  (゜д゜;)  」

コジ「マジ?」

ムー「マジ。」

トロール「お金どうするですトロ?」

ムー「お刺身にタンポポのせるバイトで稼いだ金で買う。しゃちょーにもせんむにも
文句はいわせねぇむ!!!おれは海賊王になる! あ、間違った、走り屋になる!」

トロール「走りや・・・かっこいいひびき・・・ですトロ! それならトロールも出資するトロ!
自宅警備員として貯めたこの300円!つかってくれぃ!にいさん!」

ムー「おう!」

ミン「ばかどもが・・・」

ムー「さすがに予算3万円じゃ新車はかえんむな。 」

トロール「お!にいさん!これ安いですトロよ! ジャンクって名前らしいですトロ!
なんか速そうな名前ですトロね!」

ムー「おぉぉ・・・ジャンク! かっこいいむ! いい名前む!気に入った!
ジャンク、気に入ったむ!! しかも超安いむ! 2万円だと!」

コムー「じゃんく・・・ジャンク・・・  」

博識のコムーは何か気になるようです。 なにかは思い出せないでいますが
気になっているようです。

コジ「ジャンク! なんかいいね、とーさん!」

ムー「お前もそう思うむか? はっはっは!」

トロール「にーさん、かっちまえよ! ゆーかっちまえよー!!!」

ムー「よしよし・・・即決価格、ポチっとな!」

コジ「おおお!!!」

トロール「うほ!うほ!」

馬鹿3匹は何かにとりつかれたように喜んでいます。

ピコ

ムー「お、早速出品者から連絡きたむ。」

このたびは当方の出品物、落札まことにありがとうございます。
短い間ですがどうぞよろしくお願いいたします。

早速ですが、商品についてですが現車確認を強くおすすめします。商品説明にも
書かせていただきましたが、相当なジャンクです。 現車確認の際に御気に召さない
点がございましたら落札者都合ではございますが、落札を取り消すこともまだ可能
です。 現車確認をしない場合は到着後のクレーム、リターンはご遠慮願います。

それではお返事お待ちしております。


ムー「相当なジャンクだって! ジャンク中のジャンクってことか?とにかく
速そうだな、コジ!」

コジ「コジ!!!」

ムー「現車なんか確認したくてもできないむ。 こんなん買うってばれたらしゃちょーに
どやされるわい! いきなり着たらさすがのしゃちょーも買ってしまったもん
しゃーねーなって作戦なのに! だからこそのオークションなのに。 」

トロール「策士ですトロなぁ~にいさんは!」

ムー「ほめろほめろ! わっはっは!!!  さて返事するか。」

こうしてムーは取引をどんどんすすめて行っていき、入金もヤフー簡単決済で
すましてしまいました。あとはバイクがくるのを待つのみの状態に・・・

そして数日が経過し、バイクが送られてくる日になりました。


ピンポーン


せんむ「はーい。」

はこBOONの人「どうも、湯浅さんのお宅でしょうか?」

せんむ「ゆあさ? あぁ、ムーのことね。 どうしました?」

はこBOONの人「お届けものにあがりました。」

せんむ「へ? なんだろ。 !!!!」

ムー「お~着いたむか~ ムーの相棒!」

せんむ「お、おまえ・・・ これ・・・


ムー「むふふん! そうさ!  バイクさ! これから毎朝これで駅までいくむよ!
せんむ、しっかり運転せぇよ! あ! 金はちゃんとムーが払っといたむから
心配するなむ! 」

しゃちょー「なにがたがたやってるの・・  !!!!」

せんむ「ムー、スーパーカブ買ったみたいなんだわ。 」

ムー「スーパーカブ? これはジャンクっていうバイクむ!ちゃんとカゴついて
ムーも乗れるむ! 」

しゃちょー「これカブでしょ?」

ムー「だーかーらー  ジャンクってバイクむ!」

せんむ「ムー、これどこで買った・・・」

ムー「ヤフオクむよ? ぬいぐるみのムーが買いにいって売ってくれるバイク屋なんて
ないむ。 」

せんむ「ジャンクって意味わかってて買ったのか・・・」

ムー「せんむ、ボケたむか?何回言わせるむ。こーれーはージャンクってバイクむ!」

せんむ「ジャンクって・・・ガラクタって意味だぞ・・・ 」

ムー「へ?がらくた? 何いってるむ。 ちゃんとしたバイクむ。」

せんむ「見た目はな。 たぶん、エンジンかなんかやられてんだろ・・・」

ムー「んなばかな~」

せんむ「エンジンかけてみればわかる。 ポチポチ・・・ 」

ムー「???」

せんむ「セルでなんかかからんか・・・  キックでやってみるか。 スカッ  スカッ 」

ムー「???」

せんむ「うんともすんともいわんな・・・」

ムー「・・・  」

せんむ「ジャンクだわ・・・」

しゃちょー「この馬鹿・・・」

ムー「な、なんで動かないバイク売る?なんで?なんで?詐欺む!!!これは詐欺む!」

せんむ「バイクってのは動かなくても部品とりとかで売れるんだよ・・・ 」

ムー「現車確認がどうとかこうとか・・・」

せんむ「欲しい部品が使えなかったりしてトラブルになったりしたら困るから
車、バイク系は鉄則だわな。 けどジャンクって書いてあったんならそれすらも・・・」

ムー「ムーのお金は?ねぇ、ムーのお金は!!!!」

せんむ「相手も詐欺ったわけじゃないからなぁ・・・ そのまんまジャンクが来たってだけで・・」

ムー「・°・(ノД`)・°・  ムーのお金~ タンポポのせたお金~」

しゃちょー「だからあんたは馬鹿ムーミンだっていったでしょう!」

せんむ「なんともいえんな・・・」


こうしてエンジンかからないスーパーカブが我が家の庭には転がっています。

復興物語は脚色を加えています。それは間違いありません。なんせフィクションですから。
しかし、おそろしいことに「実話」を元に書かれているのも間違いないのです。
オークションはちゃんとした知識を持って利用しましょう。 はっきりいって今回のムーの
ようなわかりやすいミスならまだしも、本当に詐欺やトラブルがあります。 

「素人は手をだすな!」

これがムーからみなさんにいえることです。


何年かぶりの復興物語どうだったでしょうか?次回はいつのなるのか?また何年後か?



乞うご期待!!!