製造業でありながら傑出した利益率を誇るキーエンスのビジネスに興味を持ちこの本を手に取った。

 

当たり前のことを当たり前に行う、そしてそれを徹底的にやり抜くこと。

これがキーエンスのビジネスの根幹である「仕組み」を成り立たせるために最重要なこと。

 

本書で最も印象に残ったワードが“性弱説”。

同社の仕組みの肝となるのが性善説でもなく性悪説でもない“性弱説”と名付けられた、人間とは自然的に易きに流れる弱い生き物であるということを前提として作られた利益創出のためのシステムが創業時から長年かけて醸成されている。これがキーエンスのコアと言うべきものだと理解した。

 

他社が真似をしようとしてできるものではない。キーエンスのすごいところはこの企業文化が完全に根付いていること。創業社長から代替わりして3代目社長が指揮を執っている現在も「仕組み」の根幹は引き継がれている。

人は易きに流れるという本能的な部分は変え難い。他社がキーエンスの仕組みを安易に模倣しようとしても企業内のあらゆる階層で簡単に妥協が入り込み、「この部分は従来通りにしよう」などど骨抜きにされてしまうことが想像できる。

 

創業者の滝崎氏が最初からこの仕組みを創り上げようとした、ということが成功の理由として大きいものである気がする。