土曜日のこと。
懇意にさせていただいている某社長にお誘いいただき、江戸東京博物館へ「歌舞伎フォーラム公演」 を観に行きました。
このフォーラムはすでに20回開催されているそうで、若手歌舞伎俳優が中心となって、歌舞伎の面白さのダイジェスト版を提供してくれる、いわば「歌舞伎のおいしいところどり」です。
第一部「歌舞伎に親しむ-歌舞伎の美」、第二部「息子」(小山内薫原作・中村又五郎監修)、第三部「応挙の幽霊」(円山応挙の「幽霊図」に題材を得た落語噺が原案)という三部構成でした。
第一部で紹介された江戸時代の美意識について、ちょっと感じるところがあったので、書き留めておこうと思います。
「粋」という言葉は、江戸では「いき」、土方では「すい」と読みます。
江戸の「いき」は吐く「息」に通じ、外に発散して余計なものを溜め込まず、最低限のものをこそぎ落とす、いわば「引き算」の美学。
対して、土方の「すい」は息を「吸う」に通じ、なんでも取り入れて内向させ、蓄積していく「足し算」の美学。
江戸歌舞伎は様式美や型として洗練されていき、一方、土方では、人情などのドラマティックな内面の世界を重んじたといいます。この東西の美的感覚というか、文化感の違いは、ひょっとするといまだに反映しているところがあるのかもしれないなぁ、と思った次第であります。
↑こちらは博物館に展示してあった歌舞伎のフィギュア。