がん治療としての高濃度ビタミンC点滴療法
東京 渋谷塚田クリニックの塚田 博です。
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2017年7月23日SNSブログ記事より、
「がん治療としての高濃度ビタミンC点滴療法」に関して、
その効果や頻度、費用なども含めて、
これからこの治療を検討されている患者さんならびにご家族の皆様方等のお役に立てるよう、できるだけわかりやすい内容で記事をアップしていきます。
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前回の記事
「高濃度ビタミンC点滴療法の注意点(副作用)について 渋谷塚田クリニック 東京」にて、
高濃度ビタミンC点滴治療は、
・ビタミンC50g以上を使用する。
・点滴の輸液量として600ml以上を使用する。
この点から、下記のような5つの注意点(副作用)あげられます。
1. 大量のビタミンCにより血管内の血液浸透圧が高まるための血管痛。
2. G6PD欠損症※の方の溶血(血尿)による貧血。
3. 心機能や腎機能が低下している方の心不全や浮腫。
4. 見せかけの高血糖。
5. 嘔気、頭痛、眠気、倦怠感など。
※G6PD欠損症とは、赤血球についているG6PDという酵素の働きが弱いために、そのほとんどの場合、ビタミンC50g以上という高濃度のビタミンCの環境になると赤血球が壊れてしまい(溶血→血尿)、貧血になる症状をいい、日本人では、1,000人に数人と言われています。
今回は、その注意点(副作用)への対処法がありますので、
これについて記載いたします。
【高濃度ビタミンC点滴療法の注意点(副作用)の対処法】
1. 大量のビタミンCにより血管内の血液浸透圧が高まるための血管痛。
 (注射針による血管外への漏れでないことを確認して)
対処法
?血管痛緩和のためのマグネシウムの増量。
?点滴速度を遅くする。
?血管痛のある腕を温める。
通常、ビタミンC点滴をする際には、この血管痛緩和対策としてマグネシウムを点滴の中にビタミンCと一緒にすでにある程度の量は入れています。それでも血管痛を感じられる場合は、このマグネシウムの量をさらに追加して痛みの緩和に努めています。
また、通常ビタミンC1gに対して1~2分の速度点滴していくのが、
この治療法のスタンダードなやり方で、当院では通常この平均的な速度で
点滴しています。この速度を緩めることで、血管痛が緩和できます。
さらに、血管痛のある腕を湯たんぽ等で温めてあげることで血管が広がり、
痛みの緩和となります。
2. G6PD欠損症※の方の溶血(血尿)による貧血。
対処法
・採血によるG6PD検査
ビタミンC50g以上の点滴の際に起こることがあると言われており、
初回ビタミンCはこれ以下の量でおこない、その際にG6PD欠損症の有無を、
採血にてビタミンC50g点滴を行う前に検査します。
結果は数日後に判明します。この結果でG6PDに活性があれば、すなわち十分にG6PDという赤血球にある酵素が働いていれば、溶血反応は起こらず、
問題なくビタミンC50g以上の点滴ができることになります。
※G6PDという酵素の活性低下により、通常ビタミンC50g以上の高濃度ビタミンC点滴をした環境下における溶血(血尿)反応。それによる貧血病状。
日本人の1,000人に数人いると言われています。
3. 心機能や腎機能が低下している方の心不全や浮腫。
対処法
・画像検査や血液検査、診察(病歴や服薬)
胸部X線などで心拡大や胸水の有無をチェックすることで心機能を、また血液検査のクレアチニンや尿素窒素、GFRなどをチェックすることで腎機能を、さらに診察に加えて、過去の病歴や現在の服薬などもチェックすることで、こうした状態でビタミンC点滴をしないようにしております。
4.見せかけの高血糖。
対処法
・糖尿病の患者さん、特に簡易式の血糖測定器で自己採血して血糖値を測定し、インスリン注射をしている患者さんには、「ビタミンCの分子構造はブドウ糖と似ているため、ビタミンC点滴12時間以内の自己採血による血糖値は、ビタミンCもブドウ糖の値として測定してしまい高値になるため、その値の根拠に、インスリン量を増やすことは絶対にしないように」と事前に説明しています。
5.嘔気、頭痛、眠気、倦怠感など。
対処法
・早ければ点滴後10分以内で、遅くても1~2時間程度で、自然に症状が改善します。症状の程度によりますが、もしお辛い時は、しばらく横になって休まれていれば自然と改善します。ビタミンC点滴中の水分補給をしっかりすることも大事です。
ビタミンC点滴後半から直後はビタミンC血中濃度が一番高くなる時期で、特に女性、それも空腹時にこの点滴を受けた方に起きやすい症状です。しかし、上記の通り自然に改善しますので、心配なさらないでください。ですので、女性にはビタミンC点滴前にはあまり空腹の状態で受けないことを伝えています。男性は点滴直後に軽度の眠気と倦怠感を感じる方がいる程度で、ほとんどの方が問題ありません。
以上が、高濃度ビタミンC点滴の際の注意点(副作用)への対処法でした。
実際に当院において、上記対処法で対応できなかった症例は、今までにありませんでした。
がん治療としての高濃度ビタミンC点滴療法10年、
患者さんやそのご家族の皆さんのお力になれればと願っております。
いつでもご相談ください。
高濃度ビタミンC点滴療法によるがん治療
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