クロービス文化の起源、定説に疑問 | モンスタービーツのブログ

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(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト)

 メキシコにある「世界の終り」と呼ばれる発掘現場で、アメリカ先住民の起源とされる遺物が発見された。それぞれ4本の牙を持つゾウに似た絶滅種2体の骨と、その周囲を取り囲むようにして見つかった1万3400年前の尖頭器(槍先)である。

 メキシコ北西部、ソノラ砂漠にあるエル?フィン?デル?ムンド(スペイン語で“世界の終り”)で発見されたこれらの骨は、アメリカ大陸において明確に定義されている最古の文明に属するクロービス人が、ゴンフォセレ(Gomphothere)を食用としていたことを示す初の考古学的証拠である。ゴンフォセレはゾウ目の古代動物で、現代のゾウと同程度の大きさがあった。

 考古学者が注目しているのは、クロービス人が何を食べていたかだけではなく、その残り物の年代である。アリゾナ大学の考古学者バンス?ホリデー(Vance Holliday)氏によると、エル?フィン?デル?ムンドで見つかったクロービスの遺跡は、これまでで最も古く、発掘場所としても最南端である。クロービス人といえばベーリング地峡が起源と考えられてきたが、そこからはるか遠く離れた場所での発掘を受けて、研究者らはアメリカ先住民の起源に新たな疑問を抱き始めている。

 クロービスナイキ kd7 化は長いこと、北アメリカの南西、氷河の南とベーリング地峡一帯が起源であると考えられてきた。しかし、テキサス州とエル?フィン?デル?ムンドでさらに古いクロービス人の遺跡が発見されたことで、その見方に疑問が出てきた。両者の放射性炭素年代はほぼ同じ1万3400年前と測定されている。

「ここにきて突然、最古のクロービス遺跡が北アメリカ南部の2カ所で発見された。これは、クロービス文化の起源が北にあるのではなく、どこか別の場所にある可能性を示唆している。そして、これまで考えられてきたよりも古い起源を持っているのではないかと思われる」と、ホリデー氏はいう。同氏はナショナル ジオグラフィックから助成金を受けている。

 キャロルトンにあるウェスト?ジョージア大学の考古学者トーマス?ジェニングス(Thomas Jennings)氏は、エル?フィン?デル?ムンドでの発見によって、クロービス文化をめぐる今まで分かっていなかった謎に回答が与えられようとしていると話す。中でも最も興味深いのは、クロービス人の技術が大陸全体に行き渡っていたということである。例えば、独特な槍の先は長くて幅も広く、両側が刃になっている。この槍先が、クロービス人の移動に伴ってアメリカ大陸全体に広がっていったのか、それとも既に住んでいた他の先住民族に技術だけが広まったのか、それは定かではない。

「これほど遠く南へ離れた場所で最古のクロービスの遺跡が見つかったということは、クロービス文化の起源がおそらく北アメリカ南部のどこかにあるということだ。アメリカ大陸の定住の歴史において、それは様々な意味を持つ」とジェニングス氏は言う。

◆氷河期の動物

 ある牧場経営者からの連絡を受けて、2007年に初めてエル?フィン?デル?ムンドを調査した考古学者らは、マンモスあるいはマストドンの骨でも出てくるのではないかと期待していた。ところが、出土した動物の顎の骨を見て、自分たちは何か全く別の物を手にしているのだということが明らかとなった。

 クロービス人はマストドンやマンモス、バイソンなど巨型動物類を狩ることで有名だが、北アメリカでは珍しかったゴンフォセレまで狩っていたとは考えていなかったとホリデー氏は言う。

 ゴンフォセレは、最後の氷河期の間に中央アメリカおよび南アメリカで多く見られ、南アメリカでは主に高地の草原地帯に生息していたが、1万年ほど前に絶滅した。

 この研究は、7月14日付「Proceedings of the National Academy of Sciences」に発表された。

Gloria Dickie, National Geographic News