設計者が自分の設計した商品のサービスメンテ情報を知ることはとても重要です。

 

市場に出て、実際にユーザーに使われる中でどんなトラブル、不満が発生しているのか、しっかり把握する必要があります。

 

 

それらを早期に解決することで人気の商品になるし、場合によっては次の商品開発のヒントが見つかるかも知れません。

 

そして、市場のサービスメンテ情報は設計者自身の目と耳で確かめることが必要です。

 

 

 

私がまだ新米設計者だった頃、市場のメンテ情報収集のために1週間ほど東京へ出張したことがありました。

 

本社は関西にあったのですが、東京が一番大きな営業所でユーザー情報も多く集まっていました。

 

東京営業所のサービスエンジニアとミーティングを行い、ユーザー訪問の履歴などを見せてもらいながら説明を受けました。

 

その時の調査対象だった商品については特別困っていることもなく、問題なし、といった評価でした。

 

 

 

そのミーティングの後、私も実際にユーザーを回ることになりました。

 

サービスエンジニアは何人かいたのですが、そのうちの1人に1週間、同行させてもらうことになりました。

 

朝の10時くらいに営業所を出て、戻って来るのは夕方です。

 

何しろ都内を回るので道路事情によってはなかなか思うように件数をさばけません。

 

休憩する暇もなく、次から次へとユーザーを訪問しました。

 

 

 

さて、私はサービスエンジニアに同行して正直驚きました。

 

予想以上にトラブルが発生していたからです。

 

事前の説明では問題なし、と評価されていた商品で次々とクレーム処理がされています。

 

確かにそれは重大なトラブルではなく、簡単な部品交換や調整で直るものばかりでした。

 

中にはユーザーの使用法が間違っているために発生したトラブルもありました。

 

 

 

ただ今まで知らなかったトラブル、知らなかった使われ方を目の当たりにして、すごい参考になりました。

 

改善すべき点がいくつも見つかりました。

 

 

 

そして1週間の同行調査が終了したとき、私は大きな勘違いに気付きました。

 

サービスエンジニアから報告があがらないのは、決してトラブルがないからではなく、エンジニアが困っていないからだと。

 

 

つまり、サービスエンジニアの仕事はユーザーのトラブルを解決することであり、解決出来ればそれでいい訳です。

 

むしろトラブル解決によって満足感、充実感さえ覚えているのです。

 

 

 

彼らにとっての問題は、トラブルの発生そのものではなく、トラブルが解決できないことです。

 

解決できるトラブルは彼らにとっては仕事であり、極端に言えばなくては困るのです。

 

 

従って、重欠陥、現場で修理出来ないようなトラブルは速報で上がってきますが、対応可能なトラブルは報告があがって来ないことも多いのです。

 

でも、設計者の目からみるとすぐにでも対策したい不備、欠陥も含まれているのです。

 

 

 

 

実際問題、全てのサービスエンジニアがその時同行したエンジニアと同じではないでしょう。

 

ささいなトラブルでも几帳面に報告してくれるエンジニアもいます。

 

ただ、それをデータで見るのと、ユーザーを訪問して自分の目で見るのでは情報量が大違いです。

 

正確さも大違いです。

 

 

 

サービスエンジニアを通してのみユーザー情報を把握するのは危険であり、やはり定期的に自分の目と耳でしっかり確かめる必要があると痛感しました。

 

 

 

新米設計者の私はその体験を通して、以後、可能な限り営業マンやサービスエンジニアと同行することにしました。

 

たぶん、設計部署の中で私が最も同行回数が多かったと思います。

 

 

商品の実態、ユーザーの実態を知ることが出来ると同時に、サービスエンジニアの実体や営業マンの実体を知ることが出来ました。

 

やはり一次情報は何より貴重なのです。