モノツクルヒト -2ページ目

スッカスカ

最近、仕事に若干やりがいを感じてきた!!






でも心が空虚だ


楽しいとか気持ちいいとか悔しいとか、悲しいとかが、すぐになくなっていっている


でも今の仕事が少しずつ



蜘蛛の巣みたいに薄いネットで穴を塞いでいってくれている



次の心はどんな色になるんだろう?

記憶3

仕事中も彼女の事を一日中考えていた

やはり昨日の事を後悔していた

何故あんな言い方をしてしまったのか
部屋に帰ったらなんて言おう

頭の中がちっとも前に進まなかった

まず謝ろう


夕方から夜に変わる頃
玄関の前で決めた


部屋に明かりが点いていることにホッとした



ドアを開けると
私は顔をしかめた








今朝出したはずのゴミ袋が戻っており、生ゴミの嫌な臭いがした








おかえり







彼女が笑顔で出てきた




私は体をすくめた











犬が彼女の足元を走っていた






コレナンデ






戻ってきたの





ダッテ
買ってきたんだろ






全く同じ首輪に同じ鳴き声、見覚えのある模様








違う戻ってきたの

彼女は、さっきよりも強い口調で返した






犬は前足を上げ以前にもよく見たポーズをしてみせた







彼女はあの頃の笑顔に戻っていた




私は背骨の髄に冷たい水を流されたような感じがした








ゴミはちゃんと分けないと戻ってくるのよ







私は玄関を飛び出した


ただ怖かった



あくる日
恐る恐る部屋に戻ると















彼女も犬も人が住んでいたこともあったのかと思うくらいに






部屋には何もなかった




私は声に出して言った
震えて情けなく




終わったんだ




それは心のどこかでホッとしている自分が嫌だったからだろう




それからいくつかの恋愛をするも長続きせず

私は彼女を忘れるために彼女に似た女性を探していた完璧な彼女を


その度に嫌われ、捨てられどこにも馴染めずまま
年をとっていった






ただ生きているだけだった

今でもあんなに深く眠れたのは彼女といる時だけだったと毎日眠れずに思った


私は今日も眠れずにうずくまる

記憶2

ベッドに戻ると彼女は背中でおかえりと言った

私は力強く抱きしめた
彼女は手をにぎってくれた
私の心臓の音が激しく鳴っているのを不審に思われねよう少し胸を離した



彼女は毎日泣いた


その度に私は抱きしめた


彼女は私の胸で泣きどこにもいかないでと言ったり、怒鳴ったり、嫌がったり、叩いたり、一人になりたいと言ったり

いつからか私は彼女の泣く様が疎ましくなったので
夜の公園に行き苛立ちを晴らすとゴミ捨て場が目に入り家に戻った



それでも毎日一緒に眠った

それからも彼女は毎日泣いた


私は心が苦しくなっていた

本当のことを話すべきだろうか

泣いた彼女を好きになったはずなのに

本当のことを言ってしまったら終わるんだ
と決めつけていた

次第に彼女につくウソが二つ三つと増えていった

一緒にいると本当の事を見破られそうな気がしていたからだ

私は帰りが遅くなり、生活もだらし無くなった



彼女は泣いていた


どうしてわからないの


彼女に似合わない大声に

とうとう私は



犬なんて買ってきたらいいだろ




死んだんだよ



と言った




決着したと思うも、彼女をひどく傷つけてしまったと後悔し、都合よく真実を伝えられたとも思った








彼女の涙は止まっていた







私は彼女の顔を見ていたのか下を見ていたのか、思い出せないまま、一人朝を迎えていた

シャワーを浴び、髭を剃り、散らかった部屋を片付け、ゴミを捨てて会社に向かった


彼女はベッドから出てこなかった


私は鍵を掛けずに家を出た