市内のメンタルクリニックに行った。

診察を待つ時間、ずっとスマホのメモに書いた話すことを繰り返し繰り返し読んでいた。

予約してから1週間、自分の症状、置かれている状況を話せるように準備していた。何度も修正を繰り返し、なるべく簡潔にまとめるようにした。


リュックを抱き抱え、窒息しそうになりながら待った。


名前を呼ばれ診察室に入る。

診察室にいたのは女性の先生だった。


「本日はどうされましたか?」


との声に、スマホを握りしめながらメモを読むように答えた。読んでいる最中、涙がどんどん溢れて止まらなくなった。


最後に縋るような思いで


「また働けるようになりますか?」


と聞いた。


先生は「なれますよ。」と優しく答えてくれた。


ひとしきり涙と鼻水を拭いたあと、


「うつ病のお薬を使って治療していきます。」


と言われた。

診断名や重症度を言わないような声かけが心地よかった。 


精神科の薬を飲むのは正直怖かった。

出されたのは1日半錠の錠剤と何度か飲んだことのある吐き気止め。

沢山薬を出されると思っていたから拍子抜けした。

これなら試してみてもいいかもしれない。