*. 「緋い妖狐と白の祓い手」

*.登場人物
■緋色(ヒイロ)
九尾の化け狐。名前の通り、赤い毛と赤い瞳が特徴。
人間の姿に成ることもできる。赤髪赤目の少年に変化する。

■縁寿(エンジュ)
妖怪を祓う物「祓い手」一族の跡継ぎ。
18歳という若さだが、実力は大人顔負け。


*.ストーリー
傷だらけで道端に倒れている、右耳の千切れた狐を拾った男子高校生、縁寿。
しかし、その狐の尾は九本あり、一見にして狐が“この世に在ってはいけない者”だと悟る。
縁寿も、“この世に在ってはいけない者”の存在を知る一人だった。

家族に隠れ、九尾の狐を看病する縁寿。
その甲斐あってか、傷も癒え、目を覚ました妖狐。
縁寿が学校から帰宅したとき、彼の家の前に在ったのは、赤髪赤目の少年だった。

少年の名は緋色。自分が妖狐だと主張する。
縁寿は道に迷った少年がふざけているのだろうと相手にしなかった。
家に帰らせようとするが、少年は断としてその場を離れない。
困り果てた縁寿が目の当たりにした物は、否応でも少年を妖狐だと信じる他ない物だった。

縁寿の持つ祓い手の力を嗅ぎつけたのか、醜い巨鬼がゆらりと立っている。
妖怪である彼らは、自分等の存在を祓う人間を憎み恨んでいた。
妖怪の中でも強い力を持つ巨鬼に翻弄され、死を覚悟した刹那、赤い少年は姿を変える。

縁寿の目の前に現れたのは、猛々しい緋き九尾の妖狐。
背の高い縁寿の何倍もあるその姿は、拾った妖狐とは比べ物にならなかった。
しかし、その妖狐は、右耳が千切れていた。

巨鬼を喰らい、縁寿を守った妖狐。
妖狐は少年の姿に戻ると、その場に倒れこみすやすやと寝息を立て始めた。

縁寿は、この少年の儚さに恋焦がれてしまっていた――。