一昨日は満月

代官山へ沢知恵・山口洋のジョイントライブに出かけた
それぞれのスタイルで
ピアノとギターが彩る
たくさんの誠実な想いのあふれるうたを聴く

様々な糸を手繰って
引き寄せられてきた
会場の人たち

会場を出れば雨粒と稲光
傘はないが
駅は近い
早足で蛍光灯の白いあかりのほうへと急ぐ

多摩川では花火大会があり
途中浴衣を濡らした人たちがいっぱい乗り込んできた

次に起きたとき
車内はガラガラで
駅を降りると路面は乾いていた

電車に揺られているあいだに
すっかり雨を追い抜いてしまったらしい

歩きながら
いつもそうするように頭は明日のことを考え始めている

すっかり気温が下がって
夏の気配が薄らいだ夜
月明かりは届かなかったけれど
満月を感じながら眠った

現状を嘆くばかりでは何も変わらない
継続するこころもとない明日を引き受ける
時々は
受けとめきれないこともあるけれど
雲の向こうの空が
切れかけの蛍光灯みたいにぴかぴか光っていた

雨もぱらぱら
今朝日よけに差した折り畳み傘を開いたら
突然骨の一本が直角に折れ曲がったまま
動かない

壊れたらしい

だからってどうってことでもない

実際傘をさすほど降ってもいなかったし

濡れたアスファルトのにおいと
もわんとしたこの空気
息苦しいけどそんなに嫌いじゃない

と考えながら家に着く

雨は止んで
蝉の声だけが倍に増した
珍しく
今日は早上がり

明るいうちに家路につく



毎日のように脇を通る公園
たまにはと
夏休みの昼下がりが置き去りになったボールにつられて
中を横切ってみた
ただ、この公園にも
冬はくる



さて、何か音楽をかけようか
と思いながら、かれこれ一時間同じ姿勢でボーッとしている

借りっぱなしのCDは
たぶんのせる予感がしない

車の走行音
扇風機の送風音

健全な小学生だった私
夏休みだって夜9時には布団に寝ていた

朝が早かったから
たまには早寝してみるのもいいか

まったくもって
とりとめもないが
こんな時間
なにか懐かしい匂いがする