ルーク・セペティス 作
野沢佳織 訳 岩波書店 2023.9.15
1989年チャウシェスク独裁政権下のルーマニア。
監視社会のなかで,親友もガールフレンドも家族さえも密告者じゃないかと疑って生活しなくちゃならない世界。食べものも足りず,電力も40ワットの電気がせいぜい。
17歳のぼくは,家族と苦しい生活を送っていたが,ある日,秘密警察に目をつけられ,密告者に選ばれてしまう。誰も信じられず,心が削られるぼくは,自分の気持ちをノートに綴る。
お話は,遠い昔でない。
実際にチャウシェスクが銃殺される場面もテレビでリアルタイムで見ていたんだけど,
あの時のルーマニアで何が起こっていたのか17歳の青年の視点から描かれる。
作者が実際に残された資料を元に書いた作品なので,心が苦しくなるけど,
読んで知るべきだと思いました。
訳の文章も読みやすいのもあったと思うけど,一気読みでした。