僕のアシスタントの女の子(29)はなかなかのべっぴんサンで、とても仲良くしてもらっている。
お互い昔の恋人の話をしたりして盛り上がることも。
そして彼女、たまに僕に女房のようなツッコミを入れたりする。
だからかもしれないが、周りから誤解を招いてしまっているようだ。
中には二人をくっつけようとする輩も出てくる始末。
困るんだよ。どちらも既婚なんだから。

正直言って、彼女にはあまり女を感じない。
これは不思議なことだと思う。
魅力的な女性だとは思うから。
だからと言って、彼女に無関心というわけではなく、ちゃんと彼女の幸せを考えていたりする。
なぜ女を感じないのか?
もし前世というものがあるとして、彼女は妹だったのかもしれない。
先々週から、僕のアシスタントとして事務員の子が異動してきた。
なんでも、前にいた部署でうつ病にかかってしまい、3ヶ月間休職し、復帰と同時に僕の部署に配属になった。
前評判はひどく悪い子で、誰ひとりとして彼女のことをよく言う人がいなかった。

実際に彼女が配属されると、まずはその美人ぶりに驚かされた。
29歳だと言っていた。
話してみるとすごくいい子だし、なんでみんなが悪く言うのかわからなかった。
きっと、休養でうつ病が少しは良くなったか、それとも彼女にちょっかいを出した男たちが彼女に相手にされないのを恨んで悪く言っていたかのどちらかだと思った。

ただでさえ仕事は僕にとって余裕なので、彼女には大して仕事は与えていない。
だから、お互い部屋で二人きりで何時間も話ばかりした。

長いこと話していると、やはり少し普通の人と違う病的なものは感じたけど、だからと言って彼女よりおかしい奴は他にいくらでもいると思った。

もうすぐ結婚するらしく、それが彼女を安定させているのかもしれない。
そして、二人で彼女の結婚式をどうやって盛り上げようかと話し合った。
第一、彼氏でもない僕とこういう話で盛り上がること自体、リアリティがない。

また、お互いの恋愛についてもよく話した。
酒も飲まずに。
それも仕事中に。
こういうところもリアリティがない。

時に誰かが部屋に入ってくるたびに、二人ともピタッと話を止めた。
何も知らない人は、僕らを見て仲が悪いと思うだろう。

僕の人生でもこの時間は不思議なひとときには違いない。
まるで村上春樹の小説の中の出来事のよう。

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