ここは元々何もない、無の世界だった。しかし今、奇跡が起き、神が世界を作ったのだ。ゴゴゴゴゴゴゴゴと地鳴りが鳴る。宇宙が、世界が作られていく。ここは世界の裏。ここは、Little world…

 

 

 

「ここは、これから私が、いえ、私たちが暮らす世界なのですね…。神よ、世界をありがとうございます。神よ、私に名を下さりありがとうございます。日秋夜嶺は神に誓います。神のために世界を導いてみせると…」

 

 

 

 彼女は今生まれたばかりの世界の初めての住人の一人、日秋夜嶺(ひあきよね)だ。神が世界に生んだ人間は10人、つまり彼女は原初の人間である。今回の話はそんな、神を愛する後の聖職者、夜嶺のお話し。

 

 しかし、私は困ってしまいました。世界に私は生まれましたが、何をすればよいのか何もわからないのです…!土地もできたばかりで不安定。人間も数人しか感じません。…まぁ人間に関しては後にたくさん生まれることでしょう。私にはなんとなくわかるのです。とりあえず、これから同じ住人の方にご挨拶をしに行きましょう。そう、思った時でした。

 

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA……!!!」

 

突然空が裂けたような音が鳴り響いたのでした。それはとても危険で、それは世界を壊し者の声だと正しく理解してしまいました。その音を聞きながら辺りを見渡しますと、ここは森、ということになるのでしょうか。ここには木・木・木・木・・・、私の見える範囲は木に覆われています。私が辺りを見渡し終わると、音は次第に消えてゆきました。それと共に、今度は私の頭上には光が差さり、一人の女性が降り立ちました。それは、今世界を創造された、私がこの先生きてゆくための道しるべとなる御方とのファーストコンタクトでした。

 

「初めまして、夜嶺。私はミコトと申します」

 

ミコト様はこう仰いました。私を含めた10名しか、まともに活動できる者はいないと。他の人間をこの世に送り出すためには今の音の正体である、龍王を倒すしかないと。・・・ミコト様は世界を作るために、御命を削られてしまったと。

 

「ですが、案ずることはございません。じきに復活しますから。

 それよりも、世界を10人で救うのですよ」

「はい、ミコト様。必ず、必ず世界を御守りいたします」

 

そう仰ると、ミコト様はたちまち光の粒になり、消えてゆきました。私はミコト様であった光の粒に誓いを立てると森の中をゆっくり、確実に進んでゆきました。