これも、母がよく言う言葉だ。


「気の毒だとは思うけど~」
「大変だとは思うけど~」


この言葉から
いつも突き放されているような感じを
受けていた。


その後に続く言葉が、ないのだ。


頑張りなさい、でもなく
応援してるから、でもなく


その言葉のあとは もう違う事を考えているか
自分(母)の事では無いから、といった風なのだ。


共感したり人の気持ちに寄り添ったりが
出来ず、自分だけが大変な母には
少しハードルが高いのだろうが

原因が自分にあっても同じ言葉が出るので
受けるこちらには怒りが湧いてくる。



ちょうど今頃の季節だった。


私とて、元夫と離れすぐに母の家に
出戻らせて頂いた訳ではなく

資格取得のためスクールに通いながら
パートに出始め、子供は保育園に預け
細々と2人で暮らしていた。


お盆前ということもあり
祖母の家に行ったのだが、子供に汗疹が出た。

まだ2歳になる前で
皮膚は柔らかく、かいてはいけないと言っても
掻きむしろうとする。


持参の塗り薬を塗ったが首の辺りから頭まで
しっかり汗疹が出来てしまった。

とにかく清潔を保ちつつ、
お盆休みが終わる前に引いたら良いけど…と
仕事の事も気になっていたが

母が「行水させたら良い」と言い出し

こうすれば治るから、と

庭のドクダミの葉を摘んで、タライに入れ
その水の中に子を入れようとしたので

気持ちは有難いが皮膚が柔らかい子なので

と断った。


しかし、民間療法を頑なに信じる母は

私が買い物に出ている間に子をその水につけ

子供にかぶれとトビヒが出、
皮膚科に行き、保育園はお休みとなった。


トビヒになってしまうと
白い塗り薬を塗るのだが頭と首と全面に
塗る羽目になり、鏡を持って泣きべそかいてる
子供の顔が目に焼き付いている。


当然、私はパートを休む事となり
職場に迷惑をかけてしまい
休んだ分、お金が入ってこなくなった。


怒りが沸き、母に
「トビヒになった」と電話すると

件の言葉である。

「気の毒だとは思うけど~」
「大変だとは思うけど~」

で、そんな事を言われてもねぇ と来た。


良かれと思ったのよ~、と
早速お得意の 娘に責められる可哀想な私
スイッチが入り、早々に電話は切れた。


これまでも散々、この様な事はあったが

私が母に 憎しみ を持ったのは
我が子に対する母の毒を感じた時からだった。


私は親としてこの子を守らねばならない。



しかし、

当時の私の力は微々たるもので

まだ若く、

後に思えば 間違った決断をしてしまった。