シンガポールの日本人資産コンサルタントが書いた内容ですが、海外から見た日本の財政について書いています。
皆さんはこの内容を見てどの様に考えますか?
私自身の考えもこの方に近いのですが、一つの考え方・意見として自分の将来を考えるヒントにしてみてください。
◆プライマリー・バランス達成後に破綻する?
5年後にプライマリー・バランスが達成するかどうかは、このまま
景気
拡大が続き、政府が想定している名目GDP3%の伸びが実現するかどうかにかかっています。もし中国も失速せず、拡大基調が長期間続いている世界経済に変化がなければ、あるいは想定どおり 2011年度にプライマリー・バランスは達成されることになるかもしれません。しかし10年という視点で分析すれば、財政が破綻する可能性は急速に増してゆくことになると判断せざるを得ません。
日本の財政が、破綻の可能性が無い状況まで改善させるためには、 3つの通過点を通らねばなりません。
1.「プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の獲得」
税収等の
歳入
で
一般歳出
が賄われる状態。国公債の利払い分だけ借金は増える。
2.「国公債の利払いも含めた財政収支の
均衡
」
借金の金額は増えなくなる。ただし
金利
が上がればまた借金は増え始める。
3.「安全圏までの国公債残高の減額」
景気
要因、
金利
の変動を考慮しても借金が増えないところまでの借金の減額。
「安全圏までの国公債残高の減額」は、どこまでの
金利
を想定するかで、どれだけの債務削減が必要か大きく変わってきますが、政府
債券
のGDP比率を欧米諸国並みにすることを目標とした場合、400兆円もの借金を削減しなければならないことになります。
400兆円の債務削減は、金額が大きすぎてさすがに政策目標にはできないでしょう。
一方、「国公債の利払いも含めた財政収支の
均衡
」は、国公債の消化余力からしても10年程度でめどをつける必要がある指標であり、本来、今の時点で
国際経済
収益力を維持するための長期的な施策を実施していかないと間に合いません。 しかし「骨太方針2006」が、そのような視点での変革の絵を提示しなかったことで、すでに日本経済の10年後の失速は自明となりつつあります。
下記の図は、今後の日本の
生産
人口(15-64歳人口)の予測です。特殊合計出生率を中位と想定した場合のデータですが9年後の2015年の
生産
人口は、2005年より8.6%減り、2025年には15%も減ることは確実です。(中位推定の2005年の特殊合計出生率は、1.31ですが最近発表された実績値は1.25であり、実際の
生産
人口はさらに厳しい数字となる)。
人口が減る中でGDPを成長させるためにはそれ以上の
生産
性(=富を生み出す力)の向上が必要ですが、10年で20%を超える
生産
性の向上(人口減相殺分+税収確保の
経済成長
)は、経済を牽引する新しい産業の創出や、より
生産
性の高い産業へのシフトがドラステックに起こらなければ可能となるものではありません。 しかし日本は、
金融
やITなどのもっとも富を生み出している産業では全く世界で太刀打ちできておらず、「製造業」に頼る産業構造から脱皮できる兆候は見られません。そしてその頼みの製造業についても、日本の地位は揺らいでいます。
例えば、かつて日本の花形産業であった半導体は戦略的経営に長けている海外企業に完全に取って代わられました。 また、
経済成長
を引っ張ることができるような製品とは、携帯電話や携帯端末といった分野が代表的ですが、これらの分野ではハードにおいてもプログラムソフトにおいてもすでに日本の優位性はほとんどありません。
日本人は、「良い物は正統な評価を受け、適性な
価格
で取引されるものである」という意識が強いため「良いものを作り続ければよい」と単純に考えがちです。 しかし稼げる製品のライフサイクルが短くなっている中で、製造業も「マーケット戦略主導型」でないと大きく成長できなくなっているのですが、日本の企業には世界
市場
を相手に戦略的なマーケット戦略を立て、製品を高く売ってゆく人材が圧倒的に不足しているのです。
そして、製造そのものの優位性についても、数学や論理的な思考ができなくなっている現代の子供達の学力、ニート現象に現れている労働意欲の低下を考え合わせると、10年後にはほとんどの製品領域で他の諸国に肩を並べられていることでしょう。
たしかに様々な分野の先端技術の中には他国の追随を許さないものも多く存在しますが、それらの技術を国の経済を引っ張る力に結びつけてゆくためには、豊かな発想力を伴う
商品
開発力や世界
市場
を相手にした高度なマーケッテングといったサービス分野の産業を育てなければなりません。
そしてまさにこの分野が日本人・日本企業が苦手とするところなのです。
2011年度にプライマリー・バランスを達成することができても、
すでに積み上がった借金である約1000兆円の金利
分の赤字が増え続けることになります。
平均負担
金利
が現在とほとんど変わらない2%でも毎年20兆円、主要国の現在の
国債
金利
並みである4%で計算すると実に毎年40兆円という気の遠くなるような赤字額になります。
骨太方針2006で、今後5年間、長期的な
経済成長
のための変革に手をつけないことが確実になったことで、日本経済が借金額を減らすところまでの長期的な成長は、望み薄です。
よって
景気
が拡大基調である限り財政破綻が現実のものとなることはないでしょうが、
景気
の流れが変わり日本の産業構造や人口構造では
金利
負担に打ち勝つ
経済成長
は不可能であるとの認識が広がるとその時点で財政は一気に行き詰る可能性があります。
それは仮にプライマリー・バランスが達成されたとしても、その後いつでも起こり得ます。1000兆円という借金額はそれだけ巨額なのです。
(財政破綻リスクの分析は、経済レポート「国公債の消化能力からみる財政の行き詰まり」でより詳しく説明しております。 是非 ご一読ください。)
つづく。