いくえみ作品、最近読み漁ってます。

 

「潔く柔く」という作品、実は3巻あたりまで読んで、数年寝かしていました。

なぜかって、その時はよくわからなくて。

面白いんだけど、没入できなくて。

他に読みたい作品がたくさんあったので後回しにしていました。

 

マンガレンタル屋でふと目に留まり。

久々で内容覚えてないなってことで1巻から13巻までレンタル。

読み始めて、やはり3巻くらいまではしっくりこない。

でもせっかく借りたし、いくえみ作品好きだし、読んでみよう。

と読み進めると、いつのまにか読了。

 

なぜ途中で止めていたのか?

それはこの作品の形式も原因のひとつだろう。

 

オムニバス形式。

オムニバス形式は、1話(または数話)で完結する形式。

話毎に主人公が変わり、内容も変わっていく。

ひとつの物語がずっと続くと、次の巻に手を伸ばしやすい。

でもオムニバスだと完結しちゃうから、次の話はあとでいいか、となりやすい。

 

でも今回読んだ「潔く柔く」はオムニバス形式でも少し違う。

主人公は毎回変わり、完結するのはそうなんだけど。

その主人公は全て繋がりがあるのだ。

主人公だけでなく、周りの人間が繋がっていたりする。

 

だから最初の方は、なんだかよくわからないところで話が完結して、

次の話が始まったり、完全に完結したなーって感じだったり。

いまいち没入できず、途中で読むのをやめていた。

オムニバス形式のラブストーリーなのねと思って読んでいた。

 

幼馴染カップル同士の4人組で仲良くなって、いつも遊んでて、

でも途中で一人いなくなっちゃう。

それでみんなバラバラになっちゃう。

これだけだと本当によくある話。

この後、それぞれ乗り越えるストーリーが展開されるんでしょ?

そんで、回想編もあったりするんでしょ?

そう思いながら読んでいた。

よくある恋愛少女漫画に、キャラクターの死という重めのスパイスを散りばめた話しなのね。

そう思って、でもいくえみ作品は登場人物の影を描くのが上手なので、

過程が楽しめるかな。と読んでみたらば。

 

 

ちがった。途中で気づいた。

あれ?もしかして全部繋がってるの?

オムニバスで全員が繋がることなんてある?

あっても主人公だけじゃない?

登場キャラクター、多くない?

 

そう気づいた時に、出てくるキャラクターをよく見たらば、

あー、この人あの話で出てきたな。

あー、この人あの人とくっついたのか。と。

 

新しい話には完結したストーリーの後日譚が組み込まれている。

今読んでいる話が、後日どんなふうに絡んでくるのかを楽しみに感じさせる。

予想通りの場合と、そうでない場合。

あ、最終的にこんなことになるんだ…と思った。

 

すべては「ハルタ」に繋がる話だと思って読んでた。

最後の方になって、あ、これは「ハルタ」に収束する話ではない。

「カンナ」に収束する話なのだと気付いた。

いろんな人のいろんな話を読んでいるのだけど、

それって結局、最終的に「カンナ」が「そうなる」ための話なのだと思った。

 

各話の内容としては、少女漫画よろしく、綺麗目のライトな話が多い。

後日譚としても、そんなうまくいくかいな。という話も多い。

だけどそれは少女漫画だからそれでいいのだと思う。

非現実的ではあるけど、そこを現実的にしてしまっては話が完結しないし。

 

兎にも角にも読了しての感想を簡潔に述べるのであれば。

・心の機微がすごい

・いくえみ男子かっこいいけど顔の区別があまりつかない

・女性キャラもわりと区別つきにくい

・悲しい話だけど、号泣せずに、物語として読める

・展開としてはコッテリ少女漫画ほろ苦スパイス入り

 

 

オムニバス形式でキャラクターが多数出てくるなかで、

モブはまぁどうでもいいんだけど、主要キャラが似すぎていてもう…。

髪色と髪型で判断するしか…。

微妙に違うんだよ。目のたれ具合、釣り具合、一重とか二重とか。

眉毛も微妙に違うの。

でも鼻筋が皆スラーっと通って高くて、顎もシャープでイケメン。

背も高め~かなり高い。

この話って後日譚として過去の話のキャラクターが次々出てくるの。

そうすると、物語の中での時間経過があって、中学生が高校生になって、大学生になって、社会人になってって。

高校生で出てきた子が社会人で出てくるとさ。

当然だけど髪型も恰好も全然違うわけ。

そうするともう迷子。

ん?だれ?この子どの話の子?

とおばちゃん迷子。

 

しばらく作中の会話やキャラのしぐさを見ていて、

ん!?あの子か!

と気付く。

いやもうちょっと顔書き分けて…と思ってしまうけど

性格やバックグラウンドはみんな違って。

それぞれの感情の動きがよく描かれていて。

気付くとがーっと読んでしまう。

いくえみマジック、おそろしい。

 

プリンシパル、あなたのことはそれほど、G線上のあなたと私、太陽が見ている(かもしれないから)を読了。

他の作品も読んでいきたい。

ただキラキラしているだけではない、さわやかな作品とはとてもいえないいくえみ作品。

すごく好き。もっと読みたい。

 

もう一回潔く柔く読もうかなー。

あーでももう返却期限がもうすぐだわ…。