昨年の冬の終わり頃、
2月末くらいから、
時々、
やってくる野良猫さんがいて、
家の「ねこリン」も、
そんなに嫌がっていない様子で、
これもなにかの縁かと思って、
昨年の6月くらいに、
その野良猫さんにも、
猫ゴハンを食べさせるうちに、
昨年の8月から居着いたような、
居着かないような。
そんな「猫乃藤(ねこのふじ)」氏でした。
猫ゴハンを食べ終わると、
何処かに行って、
しばらく経った頃に、
お腹が空いて戻ってきて、
鳥みたいな独特な鳴き声で、
ゴハンを催促して、
食べ終わるとまた何処かへ。
そして深夜に帰ってきて、
敷地にある猫箱で眠ったり。
猫乃藤氏は、
生粋の野良猫生活からか、
人のことをとても警戒していて、
触れられるくらいに近づくと、
すばやく逃げて離れます。
そんなこんなで、
動物病院に連れて行けませんでした。
野良猫生活ということで、
患っているところもある様子で、
気を揉む日々でした。
動物病院に連れて行けないので、
僕にできることとして、
除虫薬などなど、
病院で処方される正式な治療薬を、
用法を調べて海外から取り寄せて、
猫ゴハンに混ぜて内服させました。
調子がすっきりしてきたみたいで、
毛並みが良くなってきたような、
身体が太くなってきたような、
余裕が感じられるようになりました。
相変わらず、
触れようとすると逃げるけれど。
居たいだけ居て、
居着いてもよいから、
穏やかに暮らして欲しい。
触れることに慣れ始めたら、
アニマルキャッチャーも用意したので、
無理押しにでも病院に連れて行こう、
そう思って季節は過ぎて、
年を越して春先になりました。
今年の3月末の夜に、
家先の少し離れた所から、
猫乃藤氏が大きく一鳴きして、
出掛けて行きました。
なんとなく、
お別れの挨拶のように聴こえました。
その予感の通りになって、
生粋の野良猫の猫乃藤氏は、
何処かへ旅立って行きました。
野良猫さんなので、
何処かへ行ってしまうことは、
覚悟していたけれど、
いなくなって淋しい。
僕も、
ねこリンも、
本当はオットリした性格の、
猫乃藤氏のことが好きでした。
ずっと居て欲しかった。
遠くに行っても、
自分らしく、
思うままに生きていっておくれ、
親切な人に出会っておくれ、
猫乃藤氏。