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この間の日曜日にNHK教育・ETV特集で 「今村昌平監督に捧ぐ」 というオマージュ番組をやっていた。カンヌ・グランプリ2度受賞という今村監督の、作品・生きざまを、自身カンヌ・アカデミーのウイナー監督でもある、巨匠・マーティン・スコセッシが、敬愛してやまない今村昌平の、個々の作品に対する詳細な思い入れを熱く語って、見飽きない見ごたえのある番組だった。


スコセッシが語る (今年のアカデミー賞発表(最優秀監督にノミネート)直前のロングインタビューだったそうで、彼はタキシードに蝶ネクタイの正装だった) 熱弁も勿論心に訴えるものがあったが、それ以上に凄いと思ったのが、今村映画(哲学) に深く私淑する、賠償美津子のインタビューだった。

女優としてはタブーとも思えるスッピンで画面に登場した彼女は、その顔に深く刻まれた皺やこけた頬を隠そうともせず今村昌平を熱く語った。 


それは ”人間の本音を徹底したリアリズムで描く” という今村昌平監督の映画哲学に殉じた最大のオマージュであると、女優・賠償美津子のノーメイクの顔が雄弁に語りかけていた。 『復讐するは我にあり 』 『楢山節考