レンの過去
「らっしゃい!あれ?見ない顔だな。」
レン達は、この村の人間達の挨拶をしないといけないので、村の探索をしていた。
ルカによるとここにきたのは5年くらい前で、建物とかはうる覚えらしい。
まず、最初に立ち寄ったのは鍛冶屋。家を出たら、最初に目に入る小さな建物だ。
店主は二十代半ばの若い男だ。
「あ、私は、レルーノの娘です。」
挨拶をはじめたのは勿論ルカだ。
「あー。ルーさんの!はぁーん。大きくなったな~。ルカちゃんでしょ?」
馴れ馴れしく言葉を返してくる。知り合いなのだろうか?とレンは疑問を寄せた。
「まさか…。エ、エドガー…さん?」
やはり、知り合いだったようだ。
「おー。覚えてくれてたのか?嬉しいな~。」
「うん。ここにきたときによく遊んでもらったから!」
「昔は『エド』って呼び捨てだっのになー。」
このエドガーという男、身長が175強くらいの身長で体つきはしっかりしている金髪の男性である。髪は短めであるがどちらかといえば普通だろう。しかし前髪は少し長めである。
「当たり前でしょ!もう子供じゃないんだから…。」
「昔は、第一人称が俺で…。」
「その黒歴史は掘り返さないで…。」
ルカは頭に手を当てて、やつれたような顔をする。
なにか、あったのか?とさらなる疑問を寄せるレン。
「あー、ごめんごめん。で、そちらの女の子は?」
「え?」エドガーの問いかけにルカは少し驚いた。「違うよ!この人は男だよ!確かに少し女っぽく見えるかもしれないけど…。私も一度間違えたけど!この人は男だよ。」
ルカは、そういって必死に弁解する。
次に、レンが話し出す。
「いいんだ。ルカよ。この俺の美貌ゆえに、男から告白されたことも少なくない。」
なに言ってるんだこいつは。
「なに言ってんの?お前…。」
「こう見えても結構モテるんだぜ?男からも女からも…。」
そういって自慢げに語り出した。
「いろんな意味で怖いなお前。」
「まあ、最近は問題起こしてしまって友達すらいなくなったけどな。親友抜いて…。」
ルカは変な話を聞いてしまったのかと思い、謝ろうとする素振りを見せつつもスルーした。
「へぇ。あ、エドガーさん。いろいろ事情があってこっちに引っ越すことになりました。」
「ひどっ。無視とか…。」
「ルーさんのことか…。」
エドガーは、レンのことを気を使う素振りを見せつつもスルーして話した。
「知ってるんですか!?」
「あー。彼はマフィア界ではかなり名のしれた男だからな。俺の耳にもすぐ入ってくる。」
もうこの会話にレンの姿はない。
「エドガーさんは、ヘブンファミリーの上層部幹部だっけ?」
「よく知ってるな!まあ、今はちょっとばかし長い休暇いただいてこっちに戻ってきてんだけどな。」
「この一大事の時に!?」
「この一大事だからこそだ。この村の人間はしらないかもしれないがな、あの遺跡にあるあの錆び付いた石はな。少し厄介な代物なんだな。」
一大事というのは魔族の地球侵略のことだ。
「厄介?」
「すまんがこれ以上は言えない。お前達はまだ他にもあいさつして回るんだろ?もう行ったほうがいいんじゃないのか?」
ルカは、秘密について少し気になったが、今は違うことをしなければならないと思い。頭の奥にしまった。
「そうですね。じゃあこの辺で…。またきますね。」
「おう!次は買っていけよ!あっ!そこの女の子!名前は?」
「茶化してるんですか?俺の名前はレンです。」
「覚えておこう!お前も今度はなんか買っていけよ?」
「あーはい…。」
そういってレン達は、その鍛冶屋をあとにした。
鍛冶屋のすぐ横には、木造式の一戸建てが建っている。レン達は次にそこに挨拶しに行くことにした。
ドアを開けてルカが元気良く挨拶する。
「あー。今いくよ!」そう言って出てきたのは髪が長く首のあたりで縛っている中年のおっさんだった。黒色の髪はボサボサで寝起きを想像させる。「あれ?ルカちゃんじゃないか?久しぶりだねぇ!」
「そ、ソルトさん!そういえばここってソルトさんの家かぁ!」
「で、そちらの美少年は?まさか…。」
「居候ですよ?てか美少年って。さっきのエドガーさんって人には女に間違えられましたけどね。よくあることだが。正直さすがにこりごりだ。」
レンは、まあ、女と間違えられないだけマシか。と心の中でつぶやいた
「君は確かに顔は一見女っぽいかもしれんが…。胸がない。しかも、男に見えなくもない。」そう言ってソルトさんはにやけた。
「なんだ。変態か。」
レンにしては冷静な発言である。
「どうだ?ルカちゃんは可愛いだろう?」
「ええ。まあはい。」
「ちょっ!」
ルカがレンのさらっと口にした答えに驚く。
「君も、大胆な男だねぇ。」
「もう!ソルトさんは本当にかわってないんだからっ!その変態ぶりが!」
昔からこうだったのかと疑問に思うレン。
「いや、案外気が合いそうかもな。」
突然なにを言い出すんだ。
「いや、残念だが君みたいな幼稚な子供とはきっと割に合わないだろう。」
「俺もあなたみたいな面白くない冗談を本気で言おうとする老けたおっさんとはまったく気が合わないと思いましたけどね。」
そういって二人は大笑いした。
「ふふふ。ふははははは!お前とは本当に気が合いそうだ!
…そうだな。ここにきたんだからここがなんなのかをお前に教えておかないとな。この家の前に掲示板がたっていただろ?そこに貼られている依頼の管理をしてるんだよ。まあいわゆるボランティアってやつだ。」
「依頼をこなすと報酬なんかを貰えたりするんですか?」
「もちろんだ!でも、依頼を報酬の高さで区別してはいかんぞ?」
「わかっていますよ。」
なにがそんなに面白いのあと、ルカはひそかに不思議がった。
「それから、お前の名前はなんだっけかな?」
「レンです。」
「レンか。俺はソルトだ。よろしくな。」
「はい。」
「じゃあ、そろそろいこっか?」
そうルカが尋ねると
「そうだな。」
とレンは頷いた。
「おう。またな!」
ソルトという男は今まであってきたどの人間よりも面白い人間だ、
とレンは心の中でつぶやいた。
別れのあいさつをしてその場をあとにした。
一方店の中では
(ついに、ここまで来たか…。偽りの女神よ。)
ソルトは心の中で呟き書物を手にした。
「次は、どこに行くんだ?」
「次は、広場に行こうと思う。広場には雑貨屋と宿屋に博物館や図書館なんかもあるからね。」
「ほう。こんな田舎にそんなものがあるとはな。おどろきだぜ。」
「つか、ここ散髪屋ないからね!その髪は少し切った方がいいと思うよ?」
「あー。そうだな。めんどくさくて最近は切りにいかなかったしな。」
レンの髪は、ちょうど方にかかるくらいの長さがあり。女性なら誰もが羨ましがる、艶があった。確かにこれなら女性に間違えられてもおかしくはない。
「本当に女っぽい。声とかも普通の男と比べて高いし…。」
「そうなんだよ。変声期はもう、迎えたんだけどな。昔からよく女に間違えられたよ。ついでにオカマというあだ名をつけられたことがあって、その友達の骨をへし折ったことも…。あ、ここが広場かって…。案外広いな。」
さらっと口にした問題発言。
「え。今なんて…?ま、まあいいけど…。
でしょ?ここだけは、この村の自慢の場所だよ!」
「それって遠回しにいえば、この村にはここ以外いいところはないって…。」
「そんなこと言ってない。あ、そこのベンチに座ろっか?」
「ああ、そうだな。」
そういって二人はベンチに腰をおろした。
「あんたも大変だね。女に間違えられるって…。嫌でしょ?」
「そんなこともないけど。まあ、嫌じゃないっていったら嘘になる。」
「でしょ?」
「俺さ。昔、赤ん坊のときに捨てられたんだよ。」
「どうしたの急に?」
「昔話さ、俺の。お前には教えておこうと思ってな。」
「それで、俺を拾ってくれたのが九頭龍って人なんだ。」
「…!?」
「いい人だったなぁー!優しいし強いしなんでもできるし!その人には10歳のころまで育てられてたんだけど、ある日…。」
「突然、姿をくらました。」
ルカは、心を読んだかと連想させる発言した。
「何でわかったんだ!?まさか、心を!?」
「まさか、九頭龍とあなたが関わってるなんて…。」
「こっち側の人間だったのか?つか、有名?」
「有名なんてものじゃない。聖界では英雄とも言われている最強無敵の存在と言わている男よ。」
「やっぱあの人、そんなすげぇんだ!」
驚きと嬉しさが両方からこみ上げくるレン。
「常識破りの九頭龍とも呼ばれていて、15年前に創造の女神のために魔族と一人で戦ったらしいよ。そして見事一人で勝利をもぎ取った。」
「さすがすぎる!俺にこれだけの思考能力を与えてくれ、さらに人間離れした力をくれた人だからな…!」
「どうゆうこと?」
「俺が、バカなのはな?ちょっといろいろ事情があるんだ。俺は九頭龍のおじさんと、世界樹というところで特訓をした。5年間。
その五年間の特訓で人間離れした力を手に入れた。
色々な話も聞いた。人間とかの話、それから自分が普通の人間じゃないって話。
それから、頭の回転を早くするまじないをかけてくれた。
その後、頭が良くなった俺に、自分の本当の存在隠蔽しろとも言われた。」
「世界樹?」
「ああ。おじさんはそう言ってたよ。世界樹ってね。」
「そう。昔からバカを演じてたの?」
「まあな。一番演じ安いと思ったしね。」
「だから、単純なバカを演じてたの?」
「まあ、素もあるがな。
まあ、正直こんなことする必要はもうないんだがな。」
「なんで?」
「最近俺は、学校である問題を起こしてしまった。俺の力には不思議な力があってな。おじさんは超能力って言っていた。」
「ほう。魔法とかじゃなくて?」
「九頭竜のおじさんは、この世界の話は一切して教えてくれなかった。
だから分からない。
まあ、実際どうかわからんから説明する。俺の超能力というのは、触れずにもの破壊したり、人の心を読んだり、さらには物を作ったりもできる。ゲームでいうデートスキルみたいなもんだぞ。」
「聞くぶんには、魔法とは関係ないかもね。で、問題って?」
「俺は、ある友達と口論になってマジで怒ってしまったんだ。
俺は、無意識に辺りのガラスを破損させ机や椅子などを吹き飛ばしていまった。
そして、その事件があったこともあり友達がいなくなった。
まあ親友は、裏切らなかったがな。」
「大変だったね。」
「そうだなー。ここにきて分かったよ。俺は、この世界の人間なんだって。あっち(地球)では、俺が普通の人間ではないことを知っているのは、ハルだけだからな。」
「ハル?女の子?」
「いや、男だよ。俺のいた学校では群を抜いていたイケメンだった男だ。
始まりは、俺に告白してきたのが
ことからだな。」
「アホだな。」
「そうだな。実際イケメンは、女など思い通りになると思ってるっていうのがテンプレだからな。しかし、あいつは少し違った。俺たちが中学に入学してから、あいつは全ての女からの誘いを断り、俺に告白してきた。」
「あんた、その、可愛いもんね…。わからなく…ない。」
「いや、奴は頭も良くてな。事前に俺が男だということを調べていたらしい。」
「それって…。ゲイってやつ!?」
「そういうことになるが…。
違うな。あいつは、昔から友達にも好かれ女子にも相当モテていたらしく、『もうこりごりだ。俺は自由になりたい。モテるなんて一生ごめんだ。』とか贅沢な悩みを抱えて俺に告白してきた。」
「まさかと思うけど…。返事は…?」
「訳ありで、承諾した。
『俺は、レンのことが好きなんだ!』っていうふらすのならいいが、付き合っているなんては、絶対言わないという条件だ。まあ、『今後お前は間違いなく軽蔑されるから問題ないぞ。』といったら安心して条件を呑んでくれた。
それから俺たちは親友という関係を気づくことになった。」
「へぇ。その人も大変だね。」
「ああ、そして中学生一年生の秋くらいかな。俺が普通の人間じゃないと感づいてきた。」
「なんで?」
「それは、俺が美少女よりも美少女らしい顔つき。何気無い仕草。例えば計算を解くときなどの早さ。そして、ボロが出たりもした。」
「ボロ?」
「うむ。昔俺は、ガラスを壊してしまう癖があってな。」
「どんな癖だよ…。」
「今は、もうない。克服した。」
「それで?」
「俺は、どうやら観察されていたらしい。そして、最終的な考察で『お前は、普通な人間じゃないな。』といってきた。しかし、今、思い出してもあいつは最低だ!あの野郎!俺の身長や体重、3サイズまで分析したりしてきて、誕生日にはメイド服やドレスに色んなコスプレに使う衣装をおくってきやがった。」
「変態ね。」
「今思い返しただけでも寒気が…。」
「でも、仲は良かったんでしょ?残念だったね。きっと、その…魔族達に殺されてしまうよ。」
「それは、恐らくない。なぜなら俺には天賦の…。」
「天賦の?」
「勘がある!!」
「なんの思考能力を隠蔽したのか不思議に思うんですが…?」
「あう。」
変な声を漏らすレン。
「根本的な理由はないの?」
「ある!あるに決まってるぞ!?あいつは『実は、俺も不思議な力をもっている。つまり普通の人間ではない。まあ、レンみたいに大きい力ではないがな。きっと知るときがくるだろう。そのときは、あちらの世界で会おう。』とかいってたし!あっちって、きっとここのことだし!!」
「確証はないんでしょ。」
「もちろんだ。」
「もう一回聞くけど。なんの(ry」
「も、もう話すことはない。さ、さあ次の建物へと長い旅をしようではないか?」
「そうだね。少し話ししすぎたかも。」
「だろだろ。よしいくぞ、大海原に!」
「本当に馬鹿は演じてたの?」
「最初だけな!しかし、あるとき気づいた!素ででも馬鹿だと!」
出番が少ないナレーション。
そんなことは気にする余地もない。
二人の足は博物館を目指した。