私は、違う精神科病棟へ3回入院した。
今何か私が問題を起こしたら、精神を
病んでいる、入院経験もたくさんある、と
異常者扱いされてニュースになることだろう。
そんなことは精神病と診断された時から
分かっている。
だからみんな誰にもばれないようにするのだろうし、
もしそれがばれたらその人が離れてしまうのも
無理はないと思う。
私は双極性障害と診断されて、もうすぐ
丸9年になる。
これまで何度も入院をして、入院を
迷っている方がいたら少しでも参考になればと
思って書いている。
まず、精神科は一般病棟とは違い独立した
ところにある。
自分が入院する場所には二重のドアがあったり
警備員さんがいて室外許可の用紙を見せないと
出られなかったりする。
ようするに籠の鳥。
病棟の中は、料金が高いところは個室で、
一か月60万円くらいするところは
病院自体が個室しかなかった。
一番安かった病院では、個室に一か月、
大部屋に半月ほどいて30万円ほど。
治療も病名も検査内容も薬もそれぞれ
違うので一概にはみんな一緒の料金とは
いえないけれど、私は少し多く払った
ほうだと思う。
高額医療制度が使えれば、収入によって
違うと思うけど、上限で7万円くらいで
すむという話を聞いたことがあるので
調べて損はないと思う。
これからは、一番最初の入院への気持ちを話す。
冒頭でも話した通り、精神科への通院だけでも
人に話すことができないのに入院なんて、と
私自身大変な偏見を持ってみた。
だから、入院を言い渡された時は取り乱して
大泣きし、それを見て先生も旦那さんも
入院が必要だと、逆に判断をされてしまった。
最初は解放病棟の精神科へ入院。
解放病棟というのは、一部のルールは
存在するけれど、基本的に日中は外へ出て
買物に行ったり、本当に普通に生活ができる所。
ただ、ここでは済まない人が閉鎖病棟という
病室にいれられる。
ここでは、自分の部屋とご飯を食べる大部屋以外の
場所へはいけない。
ある程度良くなったと先生が判断した時には
週に2回など回数を決められて、許可書をもって
病院の売店に行ったりできる。
逆に、この場所で椅子を投げたり喧嘩をしたりして
他の患者さんと一緒にいることが危険、もしくは
自殺の可能性が大と判断された時には、
閉鎖病棟の奥にある「監獄」に入れられる。
そこは部屋の中の全てが丸見えで自分が着ている
ものでさえ、長いソックスなど首に巻けたり
するものはもって入れない。
トイレもほぼ丸見え状態。水があると危険なので
トイレの底にも水はない。
私はそこに入れられて一晩で二キロ痩せた。
案外きれい好きだったのか、壁に投げられた
ご飯の跡や床もベッドも汚くて、気持ち悪くて
部屋の入口で固まって立ったままじっと
過ごしていた。誰が使ったかも分からない箸が
使えなくてご飯にも手を付けなかった。
私は「こんなところがあるなんて」と驚いて
いたけれど、そこに入院している人たちには
もっと驚いた。
ひっきりなしに壁を叩いている人、ずっと
椅子に座って動揺を歌っている老女。
病棟の暗い廊下を生気のない細い男性が
行ったり来たりしている。
およそ「普通の世界」では考えられない光景。
そして、そんな彼らは社会に出ることは
絶対にない。
日本の人口の中にはそんな人達も含まれていて、
彼らにはそこから出る術も、生きるということを
考えることもない。誰も知らない世界だった。
今思えば、貴重な経験だったと思う。
こんな私が精神科への入院を勧めるか、と言えば、
本人の状態による、としかいえない。
「精神科への入院」というハンデを負うことは
絶対なので、それはないほうがいいと思っている。
だけど、精神科でいいことといえば、何も
しなくていいこと。
先生が入院を勧めるのは、日常の生活では
食事を作ったり誰かの面倒を見たり、それぞれの
義務があるので、それがストレスになるから
「ゆっくりしませんか?」という具合で
嫌がる患者には入院を薦めたりする。
日常が忙しい人には、何もしない、考えない
時間があっていいと思う。
入院から何年も経って私が思うことがある。
これはマイナス面だけど「精神科が精神科の
病人を創る」ということだ。
周囲に精神科の人たちだらけだと、リストカットの
跡が痛々しい人もいれば、一日中泣いてばかりの
人もいる。
私もそういった人たちに感化されて、普通の社会に
戻ることが怖かったし、今でも、精神科の病院の
中が心地よくて、死にたいという気持ちが分かって
もらえる人たちばかりで救われたと思う。
同じ気持ちを共有できる、というこは本当に有難い。
変な目で見る人は先生や看護師さんくらいだし、
とても狭い世界。
おおっぴらに「私は死にたいんだ~!」と
心から叫んでも、誰も不思議に思わない。
そういう場所でゆっくりできる、と言う人は
入院をして、同じ境遇の友達を作り、のんびり
してもいいと思う。
ただし、そこに長居をすれば社会に戻ることが
怖くなったり、最悪戻れなくなる。
私が今の生活が普通だと思うようになったのは
ここ数年。
精神科病院での生活は長すぎたと思っている。
だから、もし入院しても、少しのんびりして
普通の感覚が消えないうちに「普通の社会」に
戻ってきてほしい。
精神科は別世界。
今は、そう思っている。
まだまだ病気は続いているし、通院も定期的に
行っているけれど、それでも他の人には
顔向けできない。
人より落ち込んだり、繊細だったり、ただ
その気持ちが他の人より強いだけなんだけどな。
難しいね。
毎日が、気持ちと身体のコントロールに費やされる。
治らない。
それは、たぶん、間違いない。