去年の桜の季節、妻の癌がみつかりました。
病状がわかった時に腫瘍はすでにリンパまで達しておりはステージ4、5年生存率は43%と告げられました。
病院で妻と治療説明を受けた時のこと
主治医「奥様の癌はすでにリンパを通して耳下から首の鎖骨付近まで転移をはじめています。すぐに外科手術をして腫瘍を取除く必要があります。腫瘍だけを取除くこともできますが、再発のリスクがあるため周辺の組織も一緒に摘出すると顔面神経も切除することになるため顔面麻痺が残ります」
妻は私の手を握り少し震えながら
「顔面神経ごと取り除いてください。私はこの人とこれからの未来一緒に歩いていきたいので!」
と答えました
主治医の先生は一言「正解です」と答えてくれました。
診察室から出た時、
妻「ごめんね‥私の顔曲がっちゃうね‥」
私「どんな顔になっても何も変わらないよ、生きてさえいれば何でもできるんだから、来年にはディズニーに新アトラクションもできるんだから一緒行くんだよ!」
妻「私もあなたに見せたい景色がたくさんあるんだよ。子供の頃にみた長岡の花火大会が本当に凄くていつかあなたにみせてあげたい」
二人でいつかいきたい場所の話をしました
病院の帰り道
私は落ち込んだ妻を励まそうと
私「何か欲しいものあれば買ってあげるよ!」
妻「もう何年もスマホ変えてないからそろそろ新しいのが欲しいけど治療でお金もかかるし、高いから大丈夫だよー」
私は毎年新しいスマホが出るたびに妻にまだ使えるし機能もたいして変わらないからまだ大丈夫とお決まりのやり取りをしていましたが‥
妻にもしものことがあった時、あの時してあげればよかったと後悔してしまうようなそんなことが頭をよぎりました
私「ちょうどiPhoneの新色でイエローが出たから機種変しに行こうよ。幸せの黄色いハンカチみたいで縁起もよさそうだよ!」
そのまま妻と電気屋さんへ行き新しいスマホを妻にプレゼントしました
妻は満面の笑みで
「ありがとうこれで手術頑張れるよ」と大喜びしてました。
妻がスマホの新機能を試したいとちょうど桜が満開のだったので妻と2人で近所の桜並木を歩きました
妻「新しいiPhoneには手ブレ防止機能がついてるから私があなたの前を歩くから撮ってみて」
妻からスマホを渡され少し前を歩く妻を撮影しました
妻は桜を見上げて「綺麗だね」と呟きました
1分ほど歩いたところで妻はこちらに振り返り両手を振って「ありがとう」と一言
妻「来年の桜は見れるかな‥」
私「手術が成功して再発や転移もしなければ大丈夫だよ。来年も一緒にこの桜並木を一緒に歩こう」
2人で桜並木を歩きながら約束しました
しかし腫瘍の摘出手術をした3ヶ月後に癌が全身に転移してしまい‥妻は今年の桜をみることなく旅立って行きました
妻は亡くなる1ヶ月半前の私の誕生日に靴をプレゼントしてくれました
大切な靴なので妻が亡くなってから一度も履いてなかったのですが
今日は妻が最後にくれたプレゼントの靴を履いて一緒に歩こうと約束した桜並木を歩きました
妻が靴をプレゼントしてくれた理由は聞けなかったけれど、残された時間が少ないとわかっていた妻が私の隣を歩けなくなった時は、この靴を履いて私を一緒連れて行って欲しいと行っている様な気がしました
妻の姿はみえなくなってしまったけど隣を歩いてくれているよねそんなことを思いながら桜並木を歩きました🌸