29歳の時にホームヘルパーの資格を取った。
学校に勉強をしに行くのだが、そこにはさまざまな年代の生徒がいる。

学科の他に実習もあり、在宅や特養老人ホーム、デイサービスの実習にそれぞれ行く。
特養老人ホームでは、私の他に2人の大学生が実習をしに行った。
休み時間にその大学生と好きな芸能人の話をして、私はEXILEのファンだと伝えた。
すると、「檸檬さんて、ワー!とかキャー!とか騒ぐんですか?全然イメージできない。」と言われた。

学生時代の友人以外は、きっと私にそんなイメージを抱くと思う。

私は、いつのまにか消えたのだ。

小さい頃に毎晩死んで、社会人になってからも毎日死んで、死にすぎて私は消えてしまったのだ。

感情というものは不思議なもので、憎い、辛い、キライ、悲しいという一般的に忌み嫌われるネガティブな感情を抑えつけすぎると、嬉しい、幸せ、面白い、楽しいという喜びの感情も無くなる。

無くなるというか、表現の仕方がわからなくなるのだ。

その時、1番危ないと知っている。
本当の死すら怖く無くなるのだ。

そんな、闇に吸い込まれそうになったある日、気づいたら私は大阪のなんば花月にいた。

笑えなかった。
全く笑えなくなっていた。
笑えなくなった私は、なんばグランド花月の椅子に座って新喜劇を見ていた。

最後の最後に、ふっと笑えた。


大阪のなんとも言えないエネルギーが、私に笑う力を注入してくれた。


そして、EXILEは、ライブで私に「生きてたら、こんなに楽しいことがあるよ!」と体感させてくれた。

蘇らせてくれたのだ。


わたしはどこに消えた?
消えてはいなかった。
ただ、ずっと長い間眠っていただけ。

今でも時々、硬いシェルの中で眠る時がある。

それでもいい。
わたしは消えたわけじゃなかったみたいだから。