おはよう師匠。
その都度ワケあって転職を繰り返してるももB。
去年の秋、新しく始まる倉庫の仕事が見つかった。
年末はとっても忙しかった。
だけど、人が沢山いて楽しかった。
リーダーも新人教育のトレーナーも明るい人ばかりだったし、部署には恵まれていたんだな。
ところが。
年が明けたら急にヒマになるとは聞いていた。
噂通り、人数も減り、仕事も減った。
その部署には入荷が少なくなってしまい、同期もみんなバラバラになってしまった。
今日は1階。明日は2階。
ももBは、毎日色んな部署に行かされた。
また都合のいい女やってるよ。
って、ひとしクンに言った。
ある時から出荷の仕事に回されたももB。
最初のリーダーは言った。
「焦らなくていいですよ」。
事務的に同じ箱に同じ物を入れる作業なら、大得意。
考えなくて済むから。
ところが、そこは、違う物を違う箱に入れる作業。
となると、持ち前のアレンジ能力を発揮し出すももB。
だって、この箱に入らないんだから、こっちの箱に入れるしかないじゃん
しかも、時々締め切り時間があるものだから、その時は必死だった。
それがいけなかった。
リーダーは週替わりらしく、次の週から別のリーダーになった。
そのリーダーは最初から攻撃的だった。
トレーナーも何人かいたけど、ちょうどその週のトレーナーはキツい女性だった。
ももBはミスが多いと上から指摘されていると、新しいリーダーに言われた。
それは、指示に従っていないから。
だってこの箱に入れろって言われたって入らないんだから、他の箱に入れるしかないじゃない。
それがダメだと言う。
何が何でも指示に従えと言う。
出来ない時は、人を呼べと言う。
呼んだって誰も来てくれやしないのに…。
だってトレーナー1人でフロアー全部見てるんだから。
しかもノルマがあり、それを達成する度に、またノルマが上がる。
出荷時間が迫ってる時は、一生懸命頑張るしかない。
すると、他の時間との数の差がありすぎて、普段サボってると言われた。
フルマラソン全力疾走する能力なんて持ち合わせちゃいませんって。
ももBのチームは出来たばかりだったけど、他のチームは出来て1年以上経ってたみたいだ。
他のチームに1年働いてる先輩がいた。
その先輩に話した。
数字にあらわれない部分ってあるじゃないですか。
ももBはそれを大切にして働いてきたんで。
先輩は言った。
「そんな事言っちゃダメよ。
ここでは数字が全てなんだから」。
だって、呼んだって誰も来てくれないし、その間数字落ちちゃうし…。
「それでも待つの。
ひたすら待つの」。
ストレス溜まりません
「だからね、何か機会があった時に、
だって誰も来てくれないしね、
って小さく呟いたりとか…」。
ふ〜ん。
だからこの人1年もここに居られるんだな。
その日も出荷で、出荷する品物を準備する仕事をしていた。
すると、リーダーに呼び出された。
ももBがまたミスしたと上から指摘を受けた。
もうこれ以上庇えない。
どうしたらミスが無くなるのだろう。
土下座してお願いしたいくらいだ。
日本語が理解できるのか、と言われた。
ももB、文系なのに。
いつものキツい言い方だったら、ちってなるとこだけど、うっすら涙ぐんでいたので、もうこれは辞めろって意味だな、と思った。
ちょうど来月のシフト提出のタイミングで、今なら辞められる。
担当者に、出荷でクレーム食らったんで今月いっぱいで辞めます、と告げた。
焦ったのは担当者。
ももBは仕事休まないし、人が足りないからと言われれば、簡単に休みを返上する。
確実に1名確保出来るので、それを失うのはイタい。
また前の部署に戻すから辞めないでくれ、と泣きつかれた。
仕事が始まる前と後だけ、ロッカールームの前で同期に会う。
クレーム食らったから辞めるって言ったら、担当者がまた前の部署に戻してくれたよ、って言った。
すると、同期が、
「あのクッ○生意気なリーダーだろ」
やっぱりみんなそう思っていたんだな。
かくして前の部署に戻ったももB。
しばらくは和やかに仕事が出来ていた。
ところが…。
一向に入荷が増えないばかりか、とうとうその部署の一時閉鎖が決まってしまったのだ。
リーダーはみんな昼勤になるらしい。
トレーナーは他の部署に移り、同期も昼勤に移ったり、他の部署に移ったり…。
ももBも昼勤に移ってくれないか、って言われたけど、家庭の事情でそれはムリ。
困ったなぁ、って思っていたら、あっさりと次の仕事が見つかる。
仕事運があるって、そういうこと
「ももさん、もうすぐここ終わりですか」
ももBが1番信頼していたトレーナーさんに聞かれた。
はい。今月いっぱいです。
また忙しくなったら呼んでね、って言ってあります。
「すぐ来てください」
その話をすると、先輩はため息をついた。
「本当にリーダーとトレーナーに恵まれていたのね。
羨ましい」。
また忙しくなったら会いましょう
と、先輩に別れを告げ、その職場を後にしたももBであった。
そして始まる新しい仕事については、また次回のお手紙で。
じゃね、師匠。
また手紙書くね。