(万丈目学、湊かなえ、小路幸也、向井翔吾、藤谷治 著)
みんなの少年探偵団2
(有栖川有栖、歌野晶午、大崎梢、坂木司、平山夢明 著)
おはようございます
今日から10月ですね
台風24号の影響はいかがでしょうか…？
こちらは夜の間に台風が抜けて、今は青空が広がっています。
関東以北の地域はまだこれから影響を受ける状態ですね…。
皆さまお気を付けください。
台風による気圧の変化の影響か、ハードワークが続いていたからか、昨日は久しぶりに自分でもびっくりするくらい寝ていました。
目標の本はなんとか読めて、今朝はその本のご紹介です
「少年探偵団」といえば、江戸川乱歩が生み出した怪盗二十面相と明智小五郎の対決で大きな役割を果たす存在です。
ミステリー作家さんは、ミステリー好きが高じて作家を志されたと思うのですが、江戸川乱歩作品は、多くの作家さんに影響を与えたと思います。
シャーロック・ホームズ、怪盗ルパン、アガサ・クリスティをはじめとした海外作品も
今回ご紹介する作品は、江戸川乱歩へのオマージュ作品で、錚々たるメンバーが短編を寄せ、一冊の本になっている豪華な作品です
図書館で見つけたのですが、最初は懐かしい装丁に手をとり、執筆されたメンバーを見て興奮しました
ずっと読みたかったのですが読めず、貸し出し期間を延長してやっと読めました
8月に書いた読書歴の記事で触れていました。私もミステリー好きです同じテーマで様々な短編を寄せ合う形の作品は、それぞれの作家さんの個性が引き立って面白いです
以前、こんなアンソロジー集もご紹介させていただきました
各作家さんの切り口のご紹介を
万丈目学さんは、怪人二十面相と明智小五郎が生まれるまでのストーリーを描かれています。
短編ですが、読み応え十分。独自の世界観で、江戸川乱歩作品との融合を果たしています。
湊かなえさんは、女性ならではと思わせる視点です。
孫娘が祖母から祖母の少女時代の冒険譚を聞くという形式で、怪盗二十面相と明智探偵、小林少年を描いています。
小路幸也さんは、現代の探偵が捜査に困り、明智探偵事務所に相談に行く様子を通して、明智小五郎の偉大さを称える作品を描かれています。
向井翔吾さんは、明智小五郎不在の状態での少年探偵団と怪人二十面相の闘いを描くサイドストーリー的な作品を書かれています。
藤谷治さんは、怪人二十面相の視点からの物語です。
探偵は、怪盗の活躍がなければ活躍できないことから、怪盗に比べ、創造性がない職業と言われることがあります。
この作品ではそんな視点から、怪人二十面相の気持ちの吐露が描かれます。
有栖川有栖さんは、未来人Fという新たな怪人を登場させます。
怪人二十面相を捕らえ、明智小五郎がその活躍を評価されてFBIからの要請を受けてアメリカに渡っているタイミングで怪人二十面相が脱獄。時を同じくして未来人Fが現れます。
怪人二十面相に「フェアじゃない」と言わせる未来人Fの正体は？
有栖川有栖さんらしい世界観です。
歌野晶午さんは、旧友の葬儀のあと少年探偵団を真似した少年時代を振り返り、今は亡き友の秘密を友人が告白する形の物語です。
歌野晶午さんらしく、読後に余韻の残る作品です。
大崎梢さんは、現在を生きる少女の冒険譚を描きます。生き生きとした筆致から、少年探偵団への愛情が伝わります。
明智小五郎や小林少年の子孫の活躍が見られ、どう展開していくのか、１つの作品として楽しめます。
坂木司さんは、少し成長した小林少年の視点から物語を紡ぎます。
宝石盗難事件を軸に、坂木司さんらしい、ひとの心の機微を描いた作品になっています。
坂木司さんは、時折ブラック作品を描かれますが、この物語もブラック寄りです。
平山夢明さんは、一番江戸川乱歩の世界に近い作品を描かれているのではないかと思います。
江戸川乱歩や、横溝正史らが生み出した昭和の推理小説は、おどろおどろしい世界観が特徴です。
今読むと、荒唐無稽で時代遅れとも思える作品ですが、物語から滲むなんとも言えない迫力は、ひとつの形式美とも言えます。
平山夢明さんは、オマージュ作品に相応しく、その世界観を踏襲されています。
どの作家さんも、江戸川乱歩、怪人二十面相、明智小五郎、少年探偵団への愛情に溢れた物語を書かれています。
誰贔屓なのかが、作品を通してわかる気がしました
未読の作家さんもおられ、オリジナル作品はどんな作品を書かれるのか興味が湧きました。
ミステリーブームが自分のなかで到来するかもしれません
さて、台風一過。
今日も仕事を頑張ってきたいと思います
皆さまにとって、穏やかな佳き一日になりますように