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敏感過ぎる自分に困っています (長沼睦雄 著)

【敏感過ぎる自分に困る】、タイトルを見たとき、「自分だ!!」、と思いました。

最近は、スピリチュアル系の本や、心理カウンセラーの方の著作も増え、色んな質の本が出回っています。
売るためにキャッチーなコピーがついた本もあるのですが、自分が医療系なのもあり、間違った知識や思想が身につくのは怖いという思いがあり、私は自己啓発本や心理学系の本は、本の著者紹介を見て、十分な臨床経験を積んでおられると思う方の本を基本的に選ぶようにしています。

本書は、小児、成人の精神科の診療を22年勤務医として務めたのち、平成28年よりHSP診療に専念されている、日本ではまだ数少ないHSPの臨床医学、十勝むつみのクリニック院長の長沼睦雄氏が書かれた本です。

■他人の機嫌に振り回される
■ひとの意見を気にし過ぎる
■一つの考えにとりつかれると、悩み続ける
■すべて自分が悪いと思ってしまう
■他人が大声で注意されたり、陰口を言われてるのを聞くと、まるで自分が言われているように辛い
■時間を区切られたり、急かされたり、同時に依頼されたりすると思うように力を発揮できない
■なぜか先が読めたり、異変を察知できる
■刺激の強い光やにおい、手触りや音が耐えられない
■大きな音に弱い
■失敗しないようにいつも注意している
■お腹が空きすぎると、思考や気分が乱される
■繊細な香り、味、音がすき
■どうしたら大変な状況にならずにすむかいつも考えて行動する
■なにかをしないといけない時に、競争相手がいたり、ひとに見られていると緊張して力が出せない
■子供の頃、親や先生から繊細で内向的だと思われていた
■周囲の人の様子を察して、その人のためになることがわかる(照明の具合、席を変わるなど)
■生活の変化に動揺しやすい
■真面目である
■身の回りの微妙な空気の変化が読める
■忙しさが続くと、ひとりきりになれる場所に閉じこもりたい衝動に駆られる

私は本書にあるHSPのチェックリストのほとんどに引っかかりました。
多かれ少なかれ、みんながもつ要素かもしれませんが、それが極端に強いのを自覚しています。チェックしながら、これもこれも、これも!となりました。

チェックリストに当てはまる項目が多ければ多いほど、HSPの性質を多くもち、たとえチェックが一つでも、そのこだわりが強い場合は、HSPの可能性が考えられるそうです。

コミックエッセイなので、チェックリストに書かれているような内容が、状況とその時陥りやすい感情として描かれていて、エピソードを読むたび、自分と対比して考えやすかったです。

どれも自分が描かれているようで、そして、そんな私なので、私は自分のことを「駄目な弱い人間だ」、と思って生きてきて、「そんな自分をなんとか克服しよう」としてきたのですが、元々持っている気質なら変えようはないし、そんな自分を責めずにうまく付き合いながら生きていったらいいんだな、と思えました。


HSP(highly sensitive person 非常にセンシティブな人)は、実験心理学と深層心理学の両方のアプローチをとった心理学者エレイン・N・アーロン博士が25年の歳月をかけて概念としてまとめ、1996年にその概念を世に発表しました。
HSPの根底には、深く処理する、過剰に刺激を受けやすい、全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い、ささいな刺激を察知するの4つの性質があるとアーロン博士は説明しています。
HSPは、5人に1人の割合で存在し、同じHSPのなかでも、程度の差が見られます。

HSPは、9〜10歳ごろから「何かおかしい」
自分は周りの子達と「何かが違う」と思い始めるようです。

それは私自身や、同じくHSPであろう(しかも私より強い)と照らし合わせると、納得できました。

この時期になるとそれぞれ身体的、精神的な成長が見られ、自他の比較ができるようになるから、この時期から、他人に比べて「敏感すぎる自分」を感じ始めるようです。

HSPという気質を持った人がいる一方、HSSという気質を持ったひとも一定数存在します。
HSS(highly sensation seeking 刺激を大いにもとめること)は、変化すること、新しいこと、激しい感覚刺激などを好み、それを体験するためならリスクを負うことを厭わないという傾向があります。HSPとは対照的な外向型の遺伝的気質です。


HSPのなかの3割ほどは、「HSS&HSP」であり、周りから見ると、好奇心旺盛で元気いっぱいに見えますが、刺激をたくさん受け取って疲れやすいのはHSPと同じです。
「外では元気で明るく見えるのに、家では内向的」というひとは、HSS&HSPの可能性があります。

HSPが環境に適応するためにHSSという仮面を被って生活する術を身につけたので、社会で生きていくための適応戦略と考えられています。

私や友人はこのタイプだと思います。外に対しては、元気な自分を演出するために肩の力がはいり、いつも過緊張の状態です。

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以前紹介した「カイン」の著者、中島義道さんもそうではないかと推測します。

その根拠はこの文章からです。

人類は粗野な人種と繊細な人種という二種類の人種から成り立っている。そして、粗野な人種は人生でいつも勝どきをあげる。繊細な人種はいつも負ける。負けて負けて負けつづける。これは、もう人類の歴史始まって以来の不動の法則だ。

きみは繊細な人間なんだから、どうあがいても粗野にはなれないよ。きみがせいぜいできるのは、粗野を演技することだけさ。だが、そんな演技なんか、ぼくはすぐに見破ることができる。ヘタだからさ。粗野でない者が粗野を演技することはできないよ。粗野である者のもつ、あのどうしようもない鈍感さを演技することはできないよ。

 粗野な者は「悩まない」という強さをもっている。「気にしない」という鈍感さをもっている。「忘れる」というずるさをもっている。これを真似することはできない。ぼくもそうだが、繊細な者は他人の立ち居振舞いすべて気に入らない。その話す言葉にいちいち神経が逆撫でされる。それに無関心になろうとすればするほど、イライラは募り、自分をもちこたえることはできない。

以前、「他人軸」「自分軸」の記事を書きましたが、あの記事も、わかるひとにはわかるし、わからないひとにはわからないと思います。

ドライな考え方かもしれないですが、すべての価値観を一致させるのは無理だし、一致させる必要もない。
ただ、それがある、というのは、自分軸の私からしたら事実。

ひとに教えて、うまくそれができないとき。
他人軸→「こんなに教えてるのになんでわからな    
                 いの」
自分軸→「自分の教え方が悪いのかな?」

明らかに、発想が違う。だから、自分軸発想なのか、他人軸発想なのか、友達やパートナーの軸を知ることで、自分軸の私はうまく関わっていける。

今回抜粋した文章も一緒で、HSPのひとには伝わると思います。
不登校の子のなかには多くHSPが存在すると思います。
通常なら、当たり前にいける学校。
でもHSPにとっては、時に「ライオンのいる檻にはいれ。あのライオンは噛まないから大丈夫」と言われているような状態。

そして、私自身がHSS&HSPであり、周りから見られる反応をみると、「やりすぎる」。だって、演技だから、加減がわからないんです。そうやって演技を続けるうちに、どんどん疲れていく。

あと、粗野の具体例を挙げるとしたら、傘を持って階段を上がる時、皆さんはどうしますか?
私は、傘の先を床に向くように持ちます。でも、なかには、自分から見て90度、後ろ向きになるように持つ方もいますね。

私は、こどもやお年寄りに当たったらどうしよう、とその後ろ向きの傘をみて思います。自分の子や、身近なひとなら注意します。でも他人だと言えないから気になって仕方ない。
見て見ぬ振りをしようとするけどイライラする・・・。

こういった思考のパターンがわかってきたことで、楽になりました。
HSPの思考パターンは次のようなものです。

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思考パターンは自分だけのものなので、自分にとって当たり前。
だから、自分の思考パターンが知りたければ、自分と似たひとばかりと関係をつくるのではなく、世代や男女、自分とは違う思考パターンをもつひと、色々なバリエーションをもつ相手と関わる機会を持つ方がいいと思います。価値観が違いすぎて、一緒にいると、お互いがイライラするような関係もあるので、その場合は適正な距離の保ち方が学べます。

以上、ここまでが【気付き編】。予想はしてましたが、長くなったので一旦切ります。

次は【解放編】です。