相変わらず自粛の土日。おうちに篭ってのんびりする週末になりそうですが。
お天気も下り坂の様子。是非ともこれは刀ステを見まくる祭りを続行したいところです。
では、今夜もいってみよう!
刀ステナイト第四夜。
今夜見るのは、我が本丸の近侍であり最大の推しであるへし切長谷部が主役!の。
舞台「刀剣乱舞」 ジョ伝 三つら星刀語り
このお話は、シリーズの中でもかなり長いです。笑
休憩の前と後で、本丸の時間軸が違っています。どちらも時代は同じで、小田原征伐の終盤、天下統一を目前にした豊臣秀吉が、お忍びで黒田家の陣に身を隠す。そのタイミングに出陣した刀剣男士達が、黒田官兵衛・長政親子と関わり合いになる話なのですが。
前半は「序伝 跛行する行軍」。この刀ステの主役である、お馴染みのとある本丸の、まだ出来て間もなかった頃の話。なお、三日月宗近はまだ顕現しておらず、山姥切国広が近侍です。
そして後半は「如伝 黒田節親子盃」。序伝から随分時間が経って仲間も増えた本丸。あの頃よりもずっと強くなった彼ら刀剣男士達が、再びあの頃の黒田家へと時間遡行軍討伐のため出陣するお話です。
このお話、全編を通して一番の味わいどころは、人間達と刀剣男士達の関わりが深いところ。
例えば最も衝撃的だったのは、序伝で弥助が山姥切へ言う「あなた方は邪魔なのです…刀剣男士よ!」というセリフ。
…え、何で知ってるの…?
って普通に思うわけです。弥助は本能寺の変の生き残りなんですけどね。だからといっておかしいじゃありませんか。人間が、神の姿を知っているなんて。
そして、個人的に一番キュンとくる人間と刀剣男士のやりとりは。
それはもちろん!
長谷部と長政様!
むしろ、長谷部の長政様に対するどうしようもない愛情…!!
序伝の時に、長政様が長谷部達を助けてくれるシーンがあるんですけどね。
あの時の和田雅成(へし切長谷部役)の芝居が、本当にいいんですよ…本当に泣いちゃうんですよ…あまりにも健気なのですよ…( ; ; )
まぁ、それはもうこの作品の一推しシーンとして後ほど語らせてもらうことにして。
さらに、お気に入りなところは、コミカルでアップテンポな脚本だということ。
物語の重厚さと複雑さ、心理描写の繊細さを重視していた前作までと比べ、この作品のストーリーはシンプルです。
派遣された先で、部隊は事件に巻き込まれる。状況は複雑かつ不可解。そしてそこにいる敵はあまりにも強すぎる。危うく部隊が全滅しかけるほどにこてんぱんにやられてしまい、ようやく命辛々逃げ帰るが、被害は甚大。審神者は山姥切国広の近侍の任を解き、その時代への経路を封鎖する。
それからしばらく経ち、本丸には仲間も増え、実力もついた。そこへ、あの「忌まわしい」因縁の場所への出陣命令が下る。
部隊が出陣すると、そこで出会ったのは黒田長政とその臣下母里友信。彼らと協力して、時間遡行軍に飲み込まれた稀代の軍師である黒田官兵衛を止める約束をした彼ら。彼らは過去の自分たちを救い、さらに黒田官兵衛の見果てぬ夢を断ち切り、歴史を守るのであった。
…うむ。
全然、シンプルじゃない。
全然シンプルじゃないんだけど、まぁ最後まで見るとすごくしっくりくる。モヤッとしたまま「はい、次へ」という感じはあまりなく、しっかり完結したなという感じがします。
さて、では早速。
前半戦「序伝 跛行する行軍」の見どころから語らせてください。
前半で私が推したいのは主に二つ。山伏国広があまりにもいい奴だってこと。
それから、長谷部と長政様の関係性。
まずは、一つめ。山伏国広の話。
これはこの物語の主役であり、今回の部隊長である山姥切国広の兄刀なのですが。
これがめちゃくちゃいい奴なんですよ。
「ジョ伝」で初登場。ゲームをしている人にはお馴染みのキャラですが、まぁ、脳筋っぽい感じなんですよね。それで、初めて舞台を観たときにも、あーおっちょこちょいだな、それにしても思った以上にポンコツキャラにされたんやなって思ったんですけど。笑
でも、本当に、本当にいい奴なんですよ。
脚本家が、自分の中の善良なところを、全部ここに込めたんじゃないかなってくらい、徹底していい奴なんです。
身贔屓して弟刀を守っているわけじゃない、物事をフラットに見て、人を責めない。さすが仏道に帰依するモノだけある。
特に胸に刺さるのは、後半で山姥切と同田貫が言い争うシーンで彼が口にする言葉。
「それ以上続ければ、直せるものも直せないほど壊れてしまうぞ。」
…わかる。
あんまり詳しく言いたくないけど、でも、こういうことって、誰にでも経験ありませんか?私にはあります。
優しい故の残酷さ…山伏国広の言葉は、時に鋭く、自分の中の後悔を抉ります。
だから刀ステって、観てると時々苦しくなる、けど。好き。ドMか…!?
終盤、いわゆる「正常性バイアス」で判断力を鈍らせ、敵を深追いしようとする弟刀を前にして、温厚な山伏国広は、しかしはっきりと相手を諫めます。
「兄弟は戦況を見誤っている」
「撤退するのだ!!」
けれど、それは相手を責めてはいないのです。なんと心の広い、懐の大きい男か…もう、普段どれだけポンコツでも大丈夫!好き!
さて、二つめ。
これは誰もが推すでしょう。
この「ジョ伝」の核とも言える、黒田長政とへし切長谷部の関わり合いについて。
審神者の皆様はとうにご存知、そして後半の「如伝」にも台詞としてあるように、長谷部は長政様のことが大好きです。
命名までしておきながら直臣でもないやつに下げ渡す奴だ…織田信長のことを度々そんなふうに非難するへし切長谷部ですが…。
これは裏を返せば、下げ渡された先の黒田家の話を頑なにしない、という長谷部の特徴を示してもいます。
だからこそ、ゲームで日本号が実装され、黒田家についての回想シーンが公開された時、多くの審神者たちは震えたはずです…少なくとも私には激震モノでした。
「長政様は、いい方だった。」
織田信長から下賜されたへし切長谷部を「へし切の御刀」と呼んで、家宝として愛し、大切にした黒田家の人々。主人であった黒田長政。
教科書的な歴史に語られる黒田長政は、決して優秀なお殿様ではなかったようですが、へし切長谷部にとっては、この上なく大切な、愛おしい、失いたくない人だったのでしょう。
でも、死んでしまった。
長政様は、人間だから。
へし切長谷部は、忠誠が篤く、愛情深く、その分執着も強いキャラクターとして描かれています。
この「ジョ伝」で描かれる長谷部も、その設定をおおいに受け継いでいます。
だからこそ、長政様と長谷部のやりとりは、本当にジンとくるんです。
特に「序伝」では、長谷部は事情が分かっておらず、長政様はすでに事情が分かっている、という、その時点では観客にすら知らされていないねじれが存在しています。
それによって、忍び込んだ黒田の屋敷で乱戦に駆け込んできた長政様を見た時、長谷部はとんでもない衝撃を受ける。一方、長政様は落ち着いたものです。長谷部に「やられたふりをしてくれ」と耳打ちする。
普通、状況が分からなかったら、あるいは相手をたいして信用していなかったら、そんな耳打ち、無視するではありませんか。
でも、長谷部は訳も分からないまま、長政様の言葉通りにする。やられたフリはあまりにも下手くそだけれども。笑
信じてるのね…忘れることにしたって言ってたくせに…って、ここでまずジンとくる。
そして囚われた地下牢に、長政様が助けに来るシーン。
長政様は、彼らが刀剣男士であり、自分の目の前にいるのが黒田家の家宝である「へし切りの御刀」、へし切長谷部だということを知っています。
大好きで、恋しくて、だからこそ忘れることにした…それほど好きだったかつての持ち主が、自分を呼ぶ。
「…へし切長谷部」
その時の、長谷部の表情。強すぎるLEDに照らされた表情。今にも泣きそうなその表情。
こっちが泣くわ!!!!!!!
さらにダメ押しに、その場を後にした長政様にへし切長谷部が掠れた声で呼びかける台詞。
「待ってください…待ってください…長政様…!!」
泣くわ!!!!!!!!
っつーか号泣だわ!!!!!!!!!
黒田長政とへし切長谷部のやりとりは、ここから後半まで、非常に大きな見どころの一つです。
でもこのシーンの、なんとも言えない長谷部の声。子が親を必死で呼ぶような。行かないでって泣き叫んでいるような。
そんな声が、もう、何度観ても泣ける。。。
さて、ここまででもだいぶボリュームがあった訳ですが…まだまだ半分。むしろお話はここからが本番。
さて、では後半。
ズタボロにやられた小田原戦から大分経って、顕現された刀剣男士も増え、戦闘能力も格段に上がった本丸。
遡行経路を封鎖されたはずの、あの小田原への出陣命令が再び降る。今回の舞台編成は、前回と同様山姥切国広、へし切長谷部、山伏国広。そして新たにソハヤノツルキ、日本号、博多藤四郎。
出陣した彼らは早々に黒田長政と出会う。そして行動を共にするうちに、過去の自分たち…あの苦い大敗を喫した、まだ未熟だった頃の自分たちと遭遇するのであった…
という流れなのですが。
この後半の見どころは、とにもかくにも長政様と母里殿の大活躍。人間達が頑張るところはこの舞台「刀剣乱舞」のシリーズを通した見どころの一つですが、今回もとても良い。
そして次に、序伝と如伝のストーリーが行き来しながら、序伝で次々と見せられた「訳のわからない状況」が鮮やかに解き明かされていくところ。
脚本家の本気がめちゃくちゃ発揮されてます。こんな複雑なストーリー、どうやって組み立てていくんだろう…マジで講座開いてほしい。習ったって書けないけど…ただただ知りたいだけだけど…。
本当に、私と同じ脳味噌なんだろうか。それとも三倍くらいの重量があるんだろうか、末満ワールド…恐ろしい…。
そしてなによりも素晴らしいのは…!
やっぱり、長政様と長谷部の関わりです!、
後半では、黒田家にゆかりのある刀剣たち、日本号と博多藤四郎が部隊に加わります。
日本号は大酒飲みの飄々とした槍ですが、長谷部が黒田家にいた時のことを知っており、だからこそ、長谷部も日本号にはポロリと本心を話したりするわけです。長政様を愛するが故に、忘れることにしたという長谷部にとっては、ちょっと複雑な相手です。
一方、博多藤四郎は明るくて天真爛漫な短刀。彼がいることで、物語はぱっと明るくなります。
そしてもう一振り、このシリーズに欠かせない存在になっていくのが、飯山裕太さん演じるソハヤノツルキ。
これがまた、いい奴なんだわ。明るくて前向きで、それでいて押し付けがましくなくて。
このお話、本当に観ていて気持ちがいいなと思うのは、いい奴だなって思うやつが多いからなんですよね、きっと。
後半、山伏国広が長政様を見送りながら「長政殿は、いい人であるな。」って呟くシーンがあるんです。
いやいやお前もなって思うんですけど、それがすごくいいんですよね。いい奴が、あいついい奴だなって言うと、なんかすごくジンとしませんか?
なんか、ジョ伝ってそういうシーンが沢山あって。大好き。
さて、まずはもう一度、長政様と長谷部のことを。
如伝では、長政様があの地下牢でへし切長谷部のことを知っていた理由が明かされます。
実は未来の彼ら…即ち如伝の彼らは、序伝の彼らより前のタイミングで長政様に出会っていたのです。
時間遡行軍に魅入られた父親、黒田官兵衛を助けるために力を貸してくれ、と刀剣男士達に頭を下げる長政様に、刀剣男士達は自らの名前を明かす。
最後に残された長谷部は、自分から名乗ることができない。日本号が横から「へし切長谷部だ」と口を出し…
その時の、長谷部の反応があまりにも健気で可愛くて…。もう、初恋の人を前にした女子中学生のような。笑
本当に、長谷部は長政様のことが大好きなんだって、すごく伝わってきます。
だからこそ、この如伝の終盤で、長政様と長谷部が会話するシーン。
長政様が「其方のような刀をひと時でも得られたことを誇りに思うぞ」と言った時、長谷部が笑って、私は泣いた。
だって、すごく深いものが横たわっていたんですよ、その時の彼らの表情に。長政様は、今目の前にいるへし切長谷部は、もはや自分達の「へし切の御刀」ではないと分かっている。けれど、忠義者で愛情深いへし切長谷部を、誇りに思い、愛している。
長谷部も、長政様が彼を自分の刀だとは思っていないことを分かっている。長政様を今も変わらずに愛しながら、今の主人を一番に思っている。そんな自分の心にようやく折り合いをつけられた…そんな表情をしているんです。
言葉では追いつけないものを、表情で語っている…なんていい役者達なんだ…そしてなんて素晴らしい脚本なんだ…!!
私はこのシーン、いつ観ても泣けます。
またねぇ、この後の戦闘シーン、長谷部も自分で「今宵の俺は一味違うぞ」って言ってますけど、本当に違うんですよ。キレッキレ。めちゃくちゃ強い。
これ、序伝と如伝で構成似せてるのかな?敵の数とか、合わせてる??
序伝の時には追い詰まってめちゃくちゃに刀を振り回している印象だったシーンが、如伝では淡々と相手を切り捨てていく印象になってる。
…すごい…また見直そう…(この繰り返し)
そして二度目の真剣必殺。ヤバい。相変わらず、いい体つきです、ガン見してしまいます。ごめんなさい。
ああ…和田雅成の腹筋…
さて、んんん(咳払い)
その他にもみどころは沢山あります。
孤高の軍師、黒田官兵衛の、立板に水の謎解きのシーン。
最後の最後、長政様と官兵衛が刀を合わせるシーン。
弥助の見事な体つきと戦闘シーンの完成度の高さ。
修行から帰ってきた小夜左文字の流れるような殺陣。
そして極となった小夜にかけた山姥切国広の「お帰り…小夜…」というセリフ。その、哀しいほど優しさと懐かしさに満ちた声…。あれは泣く。
このジョ伝、それまで全く2.5次元舞台に興味がなかった男性の友人が、それきりどっぷり刀ステにハマった、きっかけになった作品だそうで。
いやー、そうですよ、よく分かります。この作品は、文字通り笑いあり涙ありの演劇として感情を揺さぶる全ての要素が詰め込まれている上に、SF好きの心まで鷲掴みにする凝った物語構成になっている。序伝と如伝の複雑な絡み合い、それでいて矛盾がない、その見事さ。さらにそれが尻切れとんぼにならず、きちんと黒田親子のストーリーとしてまとまっていく。
刀剣男士達にとっても、特に山姥切国広とへし切長谷部にとって、大きく成長する機会になったエピソードになっています。
観終わった後に爽快な気持ちになるというのは、演劇にとって、もしかしたら案外大切な要素なのかもしれません。
…そう考えると、次なる作品は、ちょっと重たいんですけどね…。
とにかくこの「ジョ伝 三つら星刀語り」は、シリーズの中でも人気が高い作品なのではないかなと思います。
そもそも、公演回数が極端に少なかったこともあり、チケット争奪戦は血で血を洗うような凄まじい様相だったとか…。
まぁ、そりゃやっぱり、これは生で見たいですよね。特に真剣必殺の戦闘シーンね。。。
さて、今夜もまた長くなってしまいました。
書いている間に一度データが吹っ飛んだので、もしかしたら繋がりがおかしくなっているところがあるかも知れません。どうぞご容赦を。
ほんと、重ね重ね、刀ステおすすめです。
是非みなさま、見てください!ハマってください!そして一緒に、語ってください!!
それではまた、できれば明日。
刀ステナイト第五夜で。