働いていました。過去も。
『お前ら、ローン組め』
唐突に社長が言い出した。
はて。なんのことやら。
『残りの支払いを全てローンにしろ、若しくは現金で今すぐ払え』
ええ、もちろんないですよ、そんな現金。
前の職場や学生時代にコツコツ貯めた僅かな貯金は切り崩したくないし、今すぐ払える現金はなかったし。
しょうがないのでローンを組んだ。
まわりも同じだった。
この時はまるで気付いてなかったが、この『ローン』の仕組みは会社が今すぐ現金が欲しい=お金がないということだった。
仕入れに使うお金がなく、今すぐお金を入手する手段として使ったのが我々のお金ということだ。
それくらい会社は行き詰まっていたのだ。
私が入社したころはたった3店舗だったのが、この頃は5店舗に増やされ、取り扱いブランドやメーカーの数も膨大になっていった。
調子に乗りすぎたのだろう(今思えば)
あんな田舎で買いに来るお客さんなんて知れてるのに事業を拡大し過ぎたのだ。
ただ、傍目からみたら店舗が増える=うまくいっているという風に見える。
当然わたしもそう思っていた。
ちょうど同時期に同じ地域に同じくらいの規模で展開していたセレクトショップがあった。
店舗をどんどん拡大し、わたしは『儲かってんだなー』って思っていた。
そんな時にそのセレクトショップの店長が自殺をした。
借金1000万を抱えて。