先日の朝日新聞デジタル版に、「全国の大学の教員のうち約半数は非常勤で、常勤の専任教員も約4分の1が「特任」「特命」などの形で任期付き雇用となっている」という記事が掲載されていました(2018/05/20付け)。

このデータは、朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」の調査結果で、回答した国公私立大659校(調査対象751校、回答率87.7%)の教員についてみています。回答した大学の専任教員は16万9458人、非常勤教員は延べ16万9164人でほぼ同数(ただ、非常勤教員は複数の大学をかけ持ちしている例もあり、延べ人数となる)。また、専任教員のうち、任期付き教員の割合は、教員全体の36.9%でした。

非常勤教員の割合を国公私立別にみると、国立が34.1%、公立50.7%、私立56.8%で、私立大で高く、地域別にも東北36.7%、北海道40.4%、中国・四国40.9%に対し、関東甲信越56.1%と差があったそうです。

 

国立大学と公立大学にも大きな差が・・・。

これは、大規模な総合大学だと、学内での兼務でできるものが、小規模大学では難しいという背景があり、比較的小規模大学の多い公立大学で高くなっているかもしれません。専門分野の教員ではなく、第2外国語等の語学担当教員や保健体育実技等の教員はどうしても非常勤が多くなる傾向があるような気がします。

重要なのは、ゼミや卒論指導のできる専門科目担当の専任教員数だと思いますが、この人数は、大学のHP等で丹念に調べていくしかないのでしょうね。

 

実は、教員数は大学設置基準で決められているのですが、その数はホントに最低限・・・、いやそれ以下ではと思える数値です。

たとえば、別表第一(第十三条関係)によると、法学部の場合、学部定員400~800人で、専任教員14名(ST比 57.1~28.6)です。理学部、工学部だと定員200~400人で、専任教員14人(ST比14.3~26.8)と、法学部の倍になっています。学部別に比較すると、社会科学系学部の定員当たりの教員数が最も低くなっていました・・・(゚_゚i)。

※ここでいう定員は1学年の入学定員ではなく、学部の定員(4年制の学部場合は1~4学年全員)となります。

 

実際には、多くの大学が設置基準以上の教員を配置していますが、その数もさまざま。

もちろん、教員数だけがすべてではありません。教員の質や、実際に教員がどれくらい教育に重点を置いているか(以前は、教育より研究に重点を置くことが評価されていた)などいろいろありますから・・・。でも、ゼミや卒論指導などは、一人あたりの教員が担当できる学生数には限界がありますから、やはり専任教員は多いほうが望ましいように思います。

 

昨年の朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」の調査報告では、各大学、学部のST比が明らかにされています。個々の大学により差はありますが、ST比の高い大学の方が、きめ細かい教育をしているという傾向は出ています。大学により、どこに重点を置いたきめ細かさなのかは違うはずですが・・・。この調査で、卒論を課さない大学が意外にあることにびっくりしました(もちろん、医学科とかはなくて当たり前なんですけどね)。

一度、志望校のST比を調べてみても面白いですね。

 

 

朝日新聞×河合塾共同調査「ひらく 日本の大学」

→面倒見のいい大学は ST比(学生数/教員数)ときめ細かい教育